研究課題/領域番号 |
24531091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
佐々木 宰 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40261375)
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研究分担者 |
福田 隆眞 山口大学, 教育学部, 教授 (00142761)
中西 紗織 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (20584163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アジア / 芸術教育 / 韓国 / 台湾 / シンガポール |
研究概要 |
本研究の目的は,アジアの芸術教育が西洋芸術をどのように受容し,自国及び地域の文化や社会的背景を踏まえて独自の教育内容を形成してきたのか,その過程を明らかにすることである。文献及び実地調査によって,(1)韓国,台湾,(2)シンガポールにおける芸術及び芸術教育の伝播・形成過程を明らかにすることが具体的な目的である。 研究初年度である平成24年度は,今後3年間の研究計画を確認するとともに,それぞれの分担における文献研究を進めて研究成果を共有すること,国内及び韓国・台湾における実地調査を行うことを主眼とした。 研究代表者の佐々木,分担者の福田は,韓国,台湾,シンガポールの美術教育文献,美術教科書等を収集し,分析に着手した。分担者の中西は,主に韓国の音楽教育に関する文献を収集し,翻訳及び分析に取り組んだ。これらを通して,対象国及び地域の芸術教育に関する基礎的な文献が収集され,その分析が進められた。シンガポールについては,分析結果と従来からの研究成果を踏まえて教育改革の動向と美術教育課程の関係を一定程度明らかにすることができた。 韓国における実地調査では,韓国芸術音楽院の閔庚燦教授に面会し,近代韓国における外国音楽の受容についての知見を得た。京仁教育大学校において美術教育科の李珠燕教授,音楽教育科の權徳遠教授に面会し,韓国の美術及び音楽の教育課程についての詳細を把握した。また淑明女子大学校の金香美准教授からは,近代韓国における美術教育の情報を得た。台湾における実地調査では,国立台北教育大学北師美術館における林曼麗教授の説明によって,近代台湾と日本の美術の伝播過程についての詳細を美術作品とともに把握できた。高雄市立美術館では台湾近代美術の資料を得た。これらの実地調査を通して,特に近代における美術及び音楽教育の形成過程に関する基本的な情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画実施計画として設定した,1)研究計画の確認と文献資料の共有,2)韓国・台湾における実地調査,については実行できた。 文献資料は一定程度の量が収集されており,その共有については翻訳等の言語の問題があり完全ではないが,それぞれの分担研究内容と全体的な研究の進行に照らしておおむね順調といえる。 現地調査については,予定した対象国及び地域において実施し,一定の成果を得ている。ただし,研究代表者及び分担者の日程調整や,調査対象とする研究機関等との日程調整の難しさのため,やむを得ず変更・短縮した部分もある。しかしながら,全体的には研究の進行はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画通り,平成24年度と同じ手順で研究を進める。すなわち,文献収集とその分析による文献研究,対象国及び地域に赴いての実地調査という手順である。 調査対象国も,当初の予定である韓国及びシンガポールを基本とする。韓国については,平成24年度の調査成果を踏まえて,より具体的な芸術教育の内容調査を行う。シンガポールについては,分離独立後のシンガポールだけでなく,イギリス植民地時代についての調査が必要となることが予想されるため,マレーシアにおける調査も検討することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費のうち,次年度に繰り越した382,295円は,絶版などの入手の困難等によって予定した文献購入ができずに物品費に残額が生じたこと,研究代表者,分担者,訪問先の日程調整が難航して予定よりも実地調査日程を短縮したことで旅費に残額が生じたことによる。繰越した研究費は,引き続き文献収集に充てるとともに,次年度のシンガポール及びマレーシアにおける調査に充てることを検討する。 繰越金を加えた上で,平成25年度の研究費は,文献資料等購入のための物品費,調査のための旅費を中心に使用を計画する。
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