研究課題/領域番号 |
24531091
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
佐々木 宰 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40261375)
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研究分担者 |
福田 隆眞 山口大学, 教育学部, 教授 (00142761)
中西 紗織 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (20584163)
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キーワード | アジア / 芸術教育 / 美術教育 / 音楽教育 / 韓国 / 台湾 / シンガポール |
研究概要 |
本研究の目的は、アジアの芸術教育が西洋芸術をどのように受容し、自国及び地域の文化や社会的背景を踏まえて独自の教育内容を形成してきたのか、その過程を明らかにすることである。文献及び実地調査によって、(1)韓国、台湾、(2)シンガポールにおける芸術及び芸術教育の伝播・形成過程を明らかにすることが具体的な目的である。 平成25年度は、上記地域の芸術及び芸術教育の文献調査を進めるとともに、シンガポール及び韓国において実地調査を進めた。 国内における文献調査等では、植民地期の韓国、台湾における教育制度、美術及び音楽教育の実態に関する文献資料等を相当数収集して、これらの分析を行った。 シンガポールにおいては、南洋理工大学国立教育研究所National Institute of Education, Singapore及び教員研修機関Teachers' Academyを訪問して関係者との面談調査を行い、芸術教育のカリキュラムと教育実践を教員養成及び教員研修の観点から把握することができた。また、1950年代後半以降の美術及び音楽の教育課程Syllabusの原本、教科書等の資料を閲覧し、これらの内容を記録及び把握することができた。さらに、新設された芸術専門の中高一貫校School of Arts Singaporeを調査し、文化振興政策と芸術教育との関係を考察することができた。南洋理工大学国立教育研究所のユネスコNIE芸術教育リサーチセンターUnesco-NIE Centre for Arts Research in Educationのフォーラムにおいて、成果の一部を発表した。 韓国においては、近代の韓国美術における日本との関係に関する資料の収集を継続するとともに、韓国の美術教育研究者と意見を交換した。明示大学で開催された韓国造形教育学会及び釜山大学美術学部において成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンガポールの芸術教育の研究については、現地における資料の入手によって大幅に進んだ。韓国及び台湾における芸術教育については、概略的な変遷過程は把握している。近代の美術に関する文献資料も相当数確保している。音楽については基本文献が確保されている状態である。音楽関係については若干速度を上げる必要があるものの、全体的な進行状況としてはおおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これまでの文献及び実地調査において収集された資料や情報をもとに、アジアにおける美術及び音楽、または芸術教育の変遷過程の俯瞰を試みる。旧植民地であった韓国と台湾は日本経由での西洋化、シンガポールは旧宗主国英国を通して西洋芸術を受容した経過をまとめる。 実地調査については、これまでの成果を補完する目的を含めて、韓国、台湾、シンガポール・マレーシアを状況に合わせて実施するものとする。年度後半からは研究のまとめ、論文発表、学会発表等を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者及び分担者の調査日程の調整が難しく、当初の想定よりも短期間となったために旅費に残余が生じた。また、文献収集に関してはオンラインや海外での直接購入に手段が限られるものが多かったため、科研費によらず購入し物品費に残余が生じた。 平成26年度の調査旅費のほか、翻訳やデータ整理のための謝金、研究成果の発表のために使用し、研究最終年度の研究業務において有効に使用する予定である。
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