研究課題/領域番号 |
24531096
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中村 好則 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00613522)
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キーワード | 算数障害 / 特別支援教育 / 数学教育学 / 学習障害 / ICT / ユニバーサルデザイン |
研究概要 |
算数障害児童生徒への算数数学の授業での一斉指導における支援について,昨年度の調査研究の結果をもとに,1算数障害児童生徒を含むすべての児童生徒を対象にした支援と,2算数障害児童生徒を対象にした個別の支援に分けて捉え,それら2つの観点からの教材と指導法を開発した。 1算数障害児童生徒を含むすべての児童生徒を対象にした支援の観点では,算数・数学の教科書に取り入れられているユニバーサルデザインを生かした教材と指導法を提案した。算数・数学の教科書に取り入れられているユニバーサルデザインの項目の抽出と分類整理を行い,算数障害児童生徒の学習におけるつまずきに応じた算数・数学の教科書に取り入れられているユニバーサルデザインを活用した教材と指導法を実践協力校で検討した。 2算数障害児童生徒を対象にした個別の支援の観点では,ICTを活用した(1)視覚的指導アプローチと(2)多様な表現による指導アプローチにより,算数障害児童生徒への補償教育的指導アプローチを取り入れた個別の支援を考慮した教材と指導法を提案した。(1)視覚的指導アプローチでは,問題場面を図やグラフで表現し視覚的な理解を支援することを意図して開発を行った。(2)多様な表現による指導アプローチでは,図や式,グラフ,数値,ことばなどの複数の数学的な表現を関連付けるように指導を行うことで数学的な意味や概念の理解を支援することを意図して開発した。 本研究で提案した教材と指導法を実践協力校において実践し,その効果を分析した結果,認知特性のアンバランスによる図形問題や文章題の混乱の低減,数学的な見方・考え方・態度の向上,学習意欲の向上などの効果があることが示唆された。今後の課題は,児童生徒のつまずきや特性に応じた教材と指導法をさらに開発し,それらを分析・整理することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
算数障害児童生徒へのつまずきに応じた支援を2つの観点から提案し,それぞれの観点から教材と指導法を開発した。開発した教材や指導法を実践協力校での実践をもとにその効果を検討することができた。しかし,実践による検証については,校種に偏りがでたが,教師へのインタビュー調査などによりそれを補うことができた。その他については,研究計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前年までの研究結果を受けて,今後は次の方針で研究を推進する。 1.前年までに開発した算数数学の領域以外の領域について,(1)教科書のユニバーサルデザインの活用と(2)ICTの活用の2つの観点から,児童生徒のつまずきと特性に応じた教材と指導法を開発する。 2.開発した教材と指導法を実践協力校で実践し,有効性を検証する。 3.算数障害児童生徒への一斉指導における支援(教材と指導法)を分類整理し体系化する。
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