最終年度の本年度は、昨年度の本調査で得た仙台市内の中規模小学校5・6年生5クラス分、及び東北地区で小中一貫校の特区認定を受けている1校の小学4年生から中学1年生までの8クラス分のデータ分析を行った。分析の一つ目は、1年目の予備調査で明らかとなった。hyper-QUで診断した学級経営の状態(学級風土)と外国語活動の好き嫌い発生の関係である。結果は、予備調査同様、自分が所属している学級に満足している児童ほど、外国語活動に好意的な姿勢を示していることが分かった(仙台市内A小学校5・6年生の結果:英語嫌い19名中9名が満足群に所属していたが、この集団の満足群の平均の分布から見ると14名の英語嫌いが発生していてもよいはず。また、侵害行為認知群には推測値で1名強(0.062%)の英語嫌いしか発生しないはずだが、この学校では3名(6.20%)の英語嫌いが確認された。さらに、全データの中で1名も英語嫌いが確認されなかった5年1組では、在籍する27名の児童の内、27名(93%)が満足群に属していた。全国平均は38%であることから、学級の友好的雰囲気が英語嫌いの発生を抑えた可能性がある。また、予備調査同様、縦型の管理型の学級経営が英語嫌いを生むことも再確認された。) さらに、小中一貫校B校6年生では、学級崩壊に近づきつつあるクラスで平均値より多くの英語嫌いが確認された。次に性格5因子で測定された性格要因と外国語活動の関係の分析であるが、満足群にいながら英語嫌いになる児童は、同じ満足群にいる児童に比べ、協調性、勤勉性、知性が低いことが明らかとなった。また逆に、攻撃性が高くなっていた。また先の英語嫌い0名のクラスの標準得点を分析すると、学級経営の良さが児童個々の自己効力感、有能間を高め、それが結果として外国語活動をはじめとする教科教育に対する肯定的な態度を育んでいることがうかがえる。
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