研究課題/領域番号 |
24531101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
八木 正一 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70117026)
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研究分担者 |
田中 健次 茨城大学, 教育学部, 教授 (10274565)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 東アジア / 東南アジア |
研究概要 |
東アジア、東南アジアの音楽がわが国においてどのように教材化されているかについて文献、実地調査によって明らかにした。結果として教科書に掲載されている決まった国以外の音楽の教材化はほとんどなされていないことが明らかになった。 本年度は、さまざまな面でわが国とも深い関係にある台湾音楽の教材化を念頭に、台湾での音楽調査や聞き取り調査を行った。これまでの民族音楽教材ではその文化の伝統的音楽を教材化することが一般的であるが、われわれはそうした視点ではなく、各民族の現在の人々が自らのどのような音楽を外国の人々に学んでもらいたいのかといった点から、台湾の人々が何を「台湾の音楽」として外国人に知ってほしいのかといった点を中心に調査を行い、典型的な2曲の教材を設定した。同時に、異文化における音楽を教材化する際の視点について研究を進め、次の4点を授業構成の視点として措定した。 ①異なる文化圏において、現在、どのような音楽活動が営まれているのか ②それは、その文化の過去やその文化を取り巻く世界とどう関係をしているのか ③そこに、それらとの相互作用がどのように生起し、現在の音楽活動に結果することになっているのか ④そして、私たち日本人は、それとどうかかわり、そこからお互いをパートナーとして何か生み出す可能性はないのか こうした視点について、「音楽科における異文化理解実践の系譜と課題」という論文にまとめ発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、本年度の研究目的を大きく3点設定していた。それは、東アジア、東南アジアの音楽が現在どのような教材化されているか、東アジア・東南アジアにおける音楽で、わが国での教材化に適した音楽を調査すること、そして、わが国において東アジア・東南アジアの音楽を教材として選択する際の視点や授業構成の視点を確定する、という3点であっった。 先の研究実績の概要に記したように、本年度の研究では、わが国における教材化の状況を明らかにすると同時に、2点目にかかわっては、現地調査をふまえ、台湾音楽の中でわが国の音楽科において教材に適する音楽を設定できたこと、そして、3点めに関しては、研究実績の概要でも述べた4つの視点、つまり、異なる文化圏において、現在、どのような音楽活動が営まれているのか、それは、その文化の過去やその文化を取り巻く世界とどう関係をしているのか、そこに、それらとの相互作用がどのように生起し、現在の音楽活動に結果することになっているのか、そして、私たち日本人は、それとどうかかわり、そこからお互いをパートナーとして何か生み出す可能性はないのかという視点を確定することができた。 以上の理由により、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、引き続き、東アジア・東南アジアの調査を行い、教材化できる音楽に関する情報をさらに蓄積する。とくに25年度は東南アジアの音楽情報の蓄積をはかる。それらをもとに、東アジア・東南アジアの音楽の教材を実際に選択し、前年度に明らかにしてきた授業構成の4つの視点をふまえ、東アジア・東南アジアの音楽を指導するパイロットプランを作成し、それを実験授業などをふまえながら修正を行い、授業モデルの作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画にもあるとおり、次年度以降においても、東アジア・東南アジアの音楽のうち、教材化に適した音楽に関する調査を行う。これに関する旅費として研究費を使用する。また、国内での実験授業に関する経費、また授業プラン作成に関する打ち合わせ、さらに映像資料の作成などに関する経費として研究費を使用する計画である。(平成25年度直接経費1,400,000円、26年度直接経費500,000円)
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