研究課題/領域番号 |
24531102
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
戸田 善治 千葉大学, 教育学部, 教授 (50207586)
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研究分担者 |
田中 伸 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
三浦 朋子 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (70586479)
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キーワード | シティズンシップ / 社会認識教育 / 社会科教育 / 社会認識体制の再構築モデル / 3分の1ルール |
研究概要 |
平成24年度は、「権威・権力」への「対抗性」、多様な社会に対する「柔軟性」、学習者自身による自覚的な「再構築性」という視点から、我が国における代表的な研究者および研究校が開発したシティズンシップ教育実践を分析・評価した。また、シティズンシップ教育と社会認識の相互補完関係を、「シティズンシップの実体化」および「社会認識のシティズンシップ化」という二つの方向性で整理した。平成25年度は上記研究成果を受け、以下のような研究を行った。 第一に、イングランドのシティズンシップ教育実践校での実態調査、大学研究者との意見交換、およびイギリス教育省のシティズンシップ教育、歴史教育、地理教育担当者への聞き取り調査を行い、現在のイングランドにおけるシティズンシップ教育実践および研究を社会認識形成の視点からの再整理を行った。 第二に、ロンドン日本人学校での聞き取り調査を行い、現行の『小学校学習指導要領・社会』および『中学校学習指導要領・社会』において形成されている社会認識形成および公民的資質を多様な社会に対する「柔軟性」の視点からの検討を行った。 第三に、第一および第二の研究成果を受け、製造・流通・小売りという業界内の商慣行である「3分の1ルール」を具体的教材として、「社会認識に基盤を置いたシティズンシップの実体化」について、「子どもの意思決定および価値判断の根拠となる潜在的な社会認識体制を顕在化・自覚化させ再構築させること」とする社会認識体制の再構築モデル(案)および具体的な単元構造案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、シティズンシップ教育を、社会認識との相互補完の視点から検討し、社会認識形成それ自身をシティズンシップ教育の視点からのとらえ直しを通して、シティズンシップを社会認識に基盤をおいて実体化させるとともに、その育成および再構築モデルを作成することである。 昨年度は理念系モデルの作成までを行ったが、本年度は、「3分の1ルール」という具体的な教材を事例として、授業実践レベルでの具体的なモデルをするとともに、単元構造案まで作成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、「3分の1ルール」という具体的な教材を事例として作成した授業実践レベルでの具体的なモデル、単元構造案をさらに発展させ、以下のような研究を行う。 1.日本におけるシティズンシップ教育実践の収集および社会認識体制の再構築に関する先 行研究分析を行う。 2.千葉大学教育学部附属中学校および附属中学校の協力を得て、小学校社会科、中学校社 会科地理的分野および公民的分野の単元開発を行う。 3.千葉大学教育学部附属小学校および附属中学校等での実験授業を行い、作成したモデル および単元構造案の検証を行う。 4.これまでの三年間の研究成果を最終報告書としてまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
最も大きな理由は、研究分担者の一人が平成26年度4月に勤務先が変わることになったことである。年度当初の研究計画では、当該研究分担者による英国調査を平成26年2月に行う予定であった。しかしながら、平成26年1月頃に勤務先が変わることが確定し、現勤務先での残務整理等に追われ、平成26年2月に英国調査を実施することができなかった。 当該研究分担者による英国調査を平成26年中に行う。
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