研究課題/領域番号 |
24531105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高籔 学 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10259624)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金融教育 / 金融リテラシー |
研究概要 |
高校生の金融リテラシーを測定する尺度についての、基礎的研究を実施した。世界的視野にたって、金融リテラシー教育、あるいは金融教育は、重要な(政策)課題ではあるが、十分な教育内容、教育方法の実現に至っているわけではない。したがって、本補助金(基金)研究では、①そもそも金融リテラシーとはどのような能力であるか、②金融リテラシーという能力を測定することができるのか、③金融リテラシーの測定メソッドを定めることができるのか、④金融リテラシーは学校教育と総合して子どもの全人的人格及び能力に寄与することが可能かどうか、などについて集中的に研究することにした。 平成24年度は、まず現行の金融教育について実態調査を実施した。金融特区に設置されている高校(沖縄県立名護商工高等学校ファイナンス科)、名護商業高校、名護市企画部金融・情報特区推進室、沖縄県商工労働部情報産業振興課金融特区班を調査訪問し、情報収集を行った。カリキュラム等を調査研究し、金融リテラシー教育の現状と成果について考察を行った。 次に、金融リテラシーに関する各種仮説の検討を実施した。その仮説とは、金融リテラシーは質問紙法で測定可能であり、金融リテラシーは5つの下位概念(働き方の理解力、お金の使い方の理解力、数的処理能力、金融商品の理解力、リスクや批判的判断力)から構成されており、また金融リテラシーがカバーするのはパーソナルファイナンスの領域である、というものである。 以上に基づき、金融リテラシーについてのプレテスト(試験的調査用紙によるベンチマークテスト)を実施した。プレテストは二次に渡り実施した。質問項目は最初100問程度作成し、理論的検討を重ねて50問程度に絞り、一次プレテストを経て31問からなる質問紙を完成させた。都立高校4校の他、他県の高校でプレテストを実施し、共分散構造分析を行い、リテラシーの下位概念の再検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「交付申請者」に記した平成24年度の「研究実施計画」の内容にほぼ沿う形で研究を実施した。調査票の開発についていえば、当初計画よりも若干程度早い進捗であるといえる。調査対象学校(主に高等学校)への調査依頼、調査は概ね順調である。 調査票の解析は主に共分散構造分析によるが、予想通りの解析結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
調査票の信頼性をプレテストによって確立する必要があるので、これを平成24年度に引き続き実施する。金融リテラシーを計測する調査票を一次的に確定した上で、高校生の金融リテラシーを測定する本調査を実施する。調査対象の高校は、全国を5ブロックに分け、各ブロックから1~2校を抽出する。高校抽出に際しては、生徒の学力を考慮するだけでなく、農業や漁業を家業とする比率が高い地域等にも考慮する。アンケート調査の実施にあたっては、当該校を訪問して依頼し、調査の信頼性を高める。 調査票データについては、因子分析及び共分散構造分析を実施する。金融教育の主な教育内容を確定するためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査票調査とデータ解析が主な研究手続きとなるので、そのことに必要な支出を行なう予定である。 ①調査対象高校への調査票調査の依頼、説明のための訪問を行うので、そのための旅費が必要である。②調査対象高校での調査票調査実施のために現地を訪問することが必要な場合もあるので、そのための旅費が必要である。③質問紙データをコンピュータで解析するので、大量のデータ入力が必要であり、入力補助アルバイトへの謝金が必要である。④調査法、教育学、ファイナンス、経済学、道徳などの理論的検討が必要であり、図書など資料購入のために支出が必要である。
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