研究課題/領域番号 |
24531107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高木 幸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70377175)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 授業実践力 / 実証的方法 / 教師の成長 |
研究概要 |
本研究の目的は、教員養成において重視すべき実践的指導力を抽出するために、教師としての成長を授業実践にかかわる力量形成の視点から把握する実証的方法論を構築することである。研究は、授業実践の質に影響を及ぼす教材や教授方略など良否の違いを把握する方法の検討(理論研究)、卒業後6~8年程度たった教員の勤務校での授業データの収集(実証的研究:事例研究)、異なる熟達ステージに属する学生、教員による共通教材を用いた授業実践データの収集と比較(実証的研究:比較研究)の3つの内容で構成している。 研究1年目は、次の4内容を実施した。「①授業観察及び教師の成長を把握する枠組みの設定」については、開発した授業観察評価シートを教職志望学生の模擬授業実施時に相互評価シートとして用い、評価項目の妥当性を検証した。また、教員養成段階の実践的力量形成に関連する取組について情報収集を行った。「②授業実践の良否に影響を及ぼす教材や教授行動等に関する文献の収集と整理」については、教授行動等に関しては論文や文献を収集したが、授業実践の良否と教材との関連について論じている文献の収集は不十分であるので平成25年度も収集を続ける。「③追跡対象者の授業データの収集」については、3名の予定者のうち1名の収集を行った。「比較研究のための教材パッケージの準備」については、2種類の授業の教材パッケージを各2セット完成し、依頼する授業者に送付できる準備を整えた。また、大学3年次生が行った授業(5時間分)と同一教材を用いて経験豊富な教師が行った授業(5時間分)の授業データを対象に、試行的に比較分析した。教師の熟達ステージの違いと授業実践場面で現れる相違点について考察し、次年度以降の比較の枠組みの基礎資料を得た。 以上の研究成果は、口頭発表2件、活動報告書等2件として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目として計画した4内容のうち、「授業観察及び教師の成長を把握する枠組みの設定」と「比較研究のための教材パッケージの準備」については、予定通りの進展であった。一方、「授業実践の良否に影響を及ぼす教材や教授行動等に関する文献の収集と整理」については平成25年度も収集する必要があると判断した。また、「追跡対象者の授業データの収集」については、産休や育休と重なっている卒業生もおり、計画通りには収集できないことが予想できるが、次年度以降の収集で対応を検討することとした。 以上の進展状況を総合しておおむね満足に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、授業実践の良否に影響を及ぼす教材や教授行動等に関する文献の収集を行うとともに、卒業後6~8年を経過した追跡対象者の授業データの収集を行うとともに、教材パッケージを用いた授業実践を経験豊富な教員に依頼し、授業データの収集を行う。その際、必要に応じて物品の購入を行う。得た授業データの発話プロトコル作成や分析についてはアルバイトまたは専門業者に依頼する。その他、情報収集及び成果の報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
卒業生6~8年後の追跡対象者(7名のうち可能な人数)の授業実践および教材パッケージを用いた授業(計画では4授業)について授業観察及び聞き取り、最新の情報や成果の報告のための学会参加は旅費として用いる。また、授業記録のデータ化のための費用はアルバイトや専門業者への謝金とし、研究推進に必要なビデオカメラや教材パッケージ作成のための材料費等を物品費として用いる。
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