最終年度の26年度は、開発したカリキュラムの検証を通して研究課題に対する総括を行い、研究の成果を広く全国的規模で発信し、各地域の読むことの授業改善の推進に資することを目的とした。具体的な研究実績として、(1)平成26年7月9日に開催された新潟市小学校教育研究会にて、「子どもたち同士の主体的な関わり合いが生む豊かな読みの世界―新美南吉に出会った子どもたち」の題目で研究発表 (2)平成26年9月6日に開催された第57回人文科教育学会にて、「読むことの指導における教師のモデリングの重要性とその在り方」の題目で研究発表 (3)平成27年3月21日に、成果発表を兼ね、今日の日本の国語教育をリードする文部科学省教科調査官の水戸部修治氏、筑波大学大学院教授の塚田泰彦氏、京都女子大学教授の井上一郎氏を招聘し、新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」にて、「読みの目的を明確にした読書活動の展開―読み手を育てる国語教育への転換」のテーマでシンポジウムを開催した。新潟県内各地から、若手教員、指導主事、国語関係の校長等幅広い層の96名の参加者があり、大変貴重なシンポジウムとなった。 3年間にわたる研究の成果として、国立教育政策研究所や市の研究指定を受けている盛岡市立月ヶ丘小学校、横浜市立白幡小学校、唐津市立箞木小学校の国語の全体カリキュラムを収集することができ、年間を通して読書活動を推進するための国語科授業の改善や学校図書館の改善に取り組んだ結果、子どもの読書意欲が高まり、全国学力調査において飛躍的な向上を見せたとの報告が得られたこと、新潟市の小学校で、「ごんぎつね」を中核教材とした新美南吉の読書単元をアメリカの脳科学に基づくモデリングの概念に基づいて10時間の授業開発を行い、全時間の授業記録を取ることができたこと、研究成果を研究会や学会で発表したり、シンポジウムを開催できたりしたことが挙げられる。
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