研究課題/領域番号 |
24531109
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小島 千か 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80345694)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教材音源の作成 / 教材楽譜の作成 / 指導法の確立 / 国際情報交換/スイス |
研究実績の概要 |
音楽鑑賞指導で求められている学習者の音楽的理解の向上を目指して、視覚を活用し、ポリフォニーを聴覚と視覚の両面から用いる指導法を開発することを目的として多方面から研究を進めてきた。 1、ポリフォニーの教材音源と教材楽譜の作成:2声のポリフォニーの2つの旋律のそれぞれを異なる楽器で演奏することで、音色の違いにより2つの旋律の重なりを聴き取りやすくした音源のレコーディングを行った。それは、J.S.バッハの作曲《インベンション》第4番、第6番をフルートとチェロ、クラリネットとチェロといった組み合わせによるものである。また、音楽を聴き取る指導に用いる音源は、長い楽曲は適さないためアレンジを行う必要もある。ボロディン作曲《中央アジアの平原にて》をコンパクトな形にアレンジすることによって、旋律やその重なりを聴き取る指導に用いるものとして楽譜の作成と教材音源のレコーディングを行った。さらに学校でより用いやすいものとして、教科書掲載曲《パフ》を聴取活動用にアレンジした楽譜を作成し、その音源をレコーディングした。 2、音楽グラフィックを伴う音楽鑑賞指導の実践:大学と中学校において、平成26年度に作成した交響曲の一部分でポリフォニー的な部分を抜き出した音源を用いて、その聴取時に音楽の特徴を視覚化させる実践を行い、指導法としての効果を明らかにした。また音楽の視覚化の方法としてモールを用いることの有効性等を学会発表したり、平成26年度の小学校1年生の実践成果を国際学会に投稿した。 3、パウル・クレーセンターでの取り組みの実地調査とまとめ:音楽指導者に対する音楽と美術を関連させたワークショップに参加すると共に、昨年度までに実地調査した取り組みをまとめるにあたり、その実践者にインタビューを行った。 4、ポリフォニー絵画についての実地調査:ポリフォニーが視覚化された絵画を音楽鑑賞指導に用いるべく美術展にて資料収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材音源のレコーディング、教材楽譜の作成がほぼ順調に進んだ。視覚とポリフォニーによる音楽鑑賞指導法の確立に向けた実践も大学と中学校で進んだ。小学校での実践は、平成26年度からの継続(1年生だったので2年生での実施)が難しくなり平成27年度は3年生で実施した。そのため3年生において実践研究を初めから行うこととなったが1年生と3年生の違いが明らかとなり指導法の確立に向けて順調に進んでいると考える。 ポリフォニーの造形作品(パウル・クレー)に関しては、教材として用いるものをある程度選定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
期間延長が受理されたため、下記のことを行いたいと考える。 1、資料教材の作成 ポリフォニーが視覚化された造形作品《J.S.バッハの変ホ短調の52-55小節の彫塑的表現》(モニュメント)を海外で実地調査し、それを含めたポリフォニーが視覚化された作品の資料教材を作成する。 2、視覚とポリフォニーによる音楽鑑賞指導法の確立とまとめ 小学校では、平成27年度からの継続で4年生で授業実践を行う。2年間の継続指導による成果から指導法を確立する。中学校では、授業の実践方法において一部見直しが必要になったため、平成27年度の実施と同じ3年生で行い、その効果を明らかにして指導法を確立する。小・中学校での成果を大学の研究紀要および学会論文に投稿・発表したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポリフォニーが視覚化された造形作品を海外で実地調査し、それを含めた資料教材を作成する計画だったが、体調不良により行えなかったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、平成28年度の研究費と合わせ、海外での実地調査費として使用する。その他、実地調査で使用するデジタルビデオカメラレコーダーの購入、文献資料の翻訳に伴う謝金、資料教材の印刷費としても使用する。
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