最終年度の研究目的は、読解指導において推論発問と評価発問を連携させた指導が、生徒のテキスト理解や、英語表現にどのような影響があるのかを調査することを目的とし、次のように研究を進めた。 これまでの考察で明らかにした読解指導における推論発問、評価発問の連携をもとにして、教師がこれらの発問を用い継続的な指導を行った場合、どのような影響が生徒に見られるかを、授業協力者の協力を得ながら、高等学校での1年間の指導を対象に、発問に対する生徒の認識を中心に分析を行った。結果は、以下の通りである。 1.発問を活用しながら英語による英語授業を継続的に行い、調査前後における授業中の教師や生徒の英語使用に対する慣れについて質問した結果、生徒の英語に対する慣れが生じ、英語を中心とした授業スタイルに肯定的に捉えるようになる生徒が多くなったことがわかった。 2.発問を活用した英語読解指導において、推論発問や評価発問の活用に対し、生徒がどのような捉え方をしていたのかについて、とくに推論発問と評価発問の良い点と改善点を自由記述による調査を行った結果、推論発問や評価発問を活用した読解指導の工夫の余地はあるものの、テキスト内容を深く理解させたり、テキスト内容に対する生徒の考えや意見を英語で表現させたりすると感じている生徒が多いことが明らかとなった。つまり、生徒の思考力・判断力・表現力を育成するために、推論発問や評価発問が有効に機能する可能性があるものと考えられる。リーディング教材を中心とした読解指導の中であっても、推論発問や評価発問を授業の中で効果的に活用することができれば、英語の表現力を育成することができる可能性が示唆される。 本研究を通し、英語の読解指導における生徒の深い理解と豊かな表現につながる指導方策を提示すると同時に、読解指導における推論発問と評価発問の連携の有効性を質的調査から明らかにできた。
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