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2012 年度 実施状況報告書

中等国語科教材のレトリックへの焦点化による関連型学力・授業モデルの構築とその検証

研究課題

研究課題/領域番号 24531116
研究種目

基盤研究(C)

研究機関三重大学

研究代表者

守田 庸一  三重大学, 教育学部, 准教授 (60325305)

研究分担者 間瀬 茂夫  広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90274274)
宮本 浩治  武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 講師 (30583207)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードレトリック / 説明的文章教材 / 関連型学力・授業モデル / 高等学校 / 国語科
研究概要

高等学校における“理解と表現の能力関連をはかる関連型国語学力および授業モデル”を構築しその有効性を検証するために行った以下の調査1~3(平成24年度内の実施を予定していた調査)に即して、研究業績をまとめる。これらは、先行研究では十分に得られていなかった成果としてその意義と重要性が認められるものである。
[調査1]説明的文章教材におけるレトリックの把握:高等学校国語科教科書(国語総合および現代文)掲載の説明的文章教材(評論文教材)におけるレトリックとその使用頻度を明らかにすることを目指した。ただし、新学習指導要領の実施に伴い国語総合の教科書が次年度に新しくなることから、使用頻度を数値化して把握することは行わなかった。
[調査2(1)]説明的文章教材の読解におけるレトリック理解の測定:調査1において数値化を行わなかったことから、調査用紙を作成するための基礎情報が得られないと判断し、質問紙による調査は実施しなかった。それに代えて、調査2(2)の授業を行った研究協力者から、説明的文章教材の読解過程における高校生のレトリックに対する反応の程度およびレトリックの効果に関する説明の可否についての情報を得た。[調査2(2)]説明的文章教材の授業におけるレトリック理解の測定:研究協力者による、レトリックに焦点化した説明的文章教材の授業を分析し、その過程における学習者のレトリック理解を把握した。
[調査3(1)]説明的文章教材の読解を通じた表現力発現状況の把握:調査2(2)で分析した授業が行われたクラスの学習者がその後に記した表現を、今後も継続して分析する必要がある。[調査3(2)]理解と表現の関連型国語学力モデルの構築:上記調査の結果や文献の情報から関連型国語学力モデルを描き出したが、このモデルは、今後の調査の結果に応じてさらに検討しなければならない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた調査1~3について、まず、[調査2(2)]において、レトリックに焦点化した説明的文章教材の授業を分析しその過程における学習者のレトリック理解を把握した。このことで、本研究の核の一つとなる成果が得られたと考えられる。なお、「研究実績の概要」の項にも記したとおり、[調査1]では教科書教材におけるレトリックの使用頻度を数値化して把握することは行わなかった。また、[調査2(1)]では、質問紙による調査に代わり、研究協力者を対象とする、説明的文章教材の読解過程における高校生のレトリックに対する反応の程度およびレトリックの効果に関する説明の可否についての調査を行った。さらに、[調査3(1)]における説明的文章教材の読解を通じた表現力発現状況の把握については、今後も引き続き取り組む必要がある。最後に、[調査3(2)]における理解と表現の関連型国語学力モデルの構築については、一定の成果が得られたが、さらに検討を行う余地も残されている。
以上のように、その全ての内容を完全に実施するまでには至っていないが、各調査を計画に即して進め、また必要に応じて代替の調査を行い、今後につながる十分な成果を得られた。このことから、現在までの達成度については「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策に関しては、まず、これまでの調査を補完しておくことが必要である。すなわち、新学習指導要領の実施に伴って新しく発行された教科書(国語総合)について、そこに掲載されている説明的文章教材のレトリックを把握し、その結果を、従来の教科書を対象とした調査結果と統合させる。また、説明的文章教材の読解を通じた表現力発現状況の把握と、理解と表現の関連型国語学力モデルの構築については、次年次の研究の成果もふまえながら、引き続き検討を進めることとする。
今後は、以上の補完と並行して、当初の計画に従って研究を進める。具体的には、調査によって、高等学校の国語科教師が持つ、説明的文章指導における理解と表現に関する学力観と授業観を把握する。さらに、これまでの研究の成果をふまえて、関連型国語学力を育成するための授業モデルの構築を目指す。すなわち、次年度の研究の目的は、関連型国語学力モデルに対応する授業モデルを定かにすることにある。

次年度の研究費の使用計画

次年度研究費の使用計画に関しては、まず、新しく発行された教科書(国語総合)をそろえるとともに、必要に応じて教師用指導書等の文献資料を準備しなければならない。
また、高等学校の国語科教師が持つ、説明的文章指導における理解と表現に関する学力観と授業観を把握することにかかわって、インタビュー調査も予定している。その際に、録画・録音した授業場面を再現した方が、より実際的・実践的な教師の認識や知識が明らかになると考えられる。加えて、理解と表現の関連型学力モデルの構築について検討を進めたり、関連型学力モデルを育成するための授業モデルを構築したりするために、再度、研究協力者による授業を分析する調査が必要となる可能性がある。これらの調査については、既存の機器を使用するが、性能面及び台数面での不足分については補わなければならない。
最後に、授業モデルの構築に至るまでは研究代表者・研究分担者・研究協力者が頻繁にかつ密接にやりとりを行う。可能な限りメール等での審議とするが、成果を発信したり情報を共有したりする上でそれでは済まない場合は、旅費が必要となる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 評論・論説教材の関連性に関する考察2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      三重大学教育学部研究紀要

      巻: 64 ページ: 149-157

  • [雑誌論文] 小学校から高等学校までを見通した説明的文章指導の必要性2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      語り合う文学教育

      巻: 11 ページ: 34-40

  • [雑誌論文] 文学に哲学を見出す―文学教材と説明的文章教材の接点―2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      国語科年報・思草

      巻: 7 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 国語科授業実践における学習の段階性の再検討2013

    • 著者名/発表者名
      間瀬茂夫
    • 雑誌名

      国語教育研究

      巻: 54 ページ: 103-108

  • [雑誌論文] 読書を媒介としたコミュニケーション2013

    • 著者名/発表者名
      宮本浩治
    • 雑誌名

      日本語教育レポート

      巻: 11 ページ: 7-14

  • [図書] 教師を目指す人のための教育方法・技術論2012

    • 著者名/発表者名
      小野賢太郎・小柳和喜雄・平井尊士・宮本浩治(以上、編著者)
    • 総ページ数
      119-125,132-147
    • 出版者
      学芸図書

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公開日: 2014-07-24  

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