国際移動が子ども・若者の音楽的アイデンティティ形成にどう作用するかを文化の継承・変容・複合化の観点から探り、日本の学校音楽教育の課題を明らかにすることを目的に研究を進めた。 研究を通して示唆されたのは、国際移動の背景をもつニューカマーの子どもは日常生活においても「家庭と学校」「家族と友だち」等の間で頻繁に文化間移動を経験しており、そこでは家族で共有できる歌の記憶が子どもたちの文化的安定性の面で大きな意味をもつことである。そこで、ドイツ等の先行事例を参考にしながら、ニューカマーの子どもの家庭の音楽文化とのつながりを考慮した音楽(子どもの歌)の教材化を試行した。
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