研究課題/領域番号 |
24531118
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
水山 光春 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80303923)
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研究分担者 |
吉村 功太郎 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00270265)
荻原 彰 三重大学, 教育学部, 教授 (70378280)
樋口 とみ子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80402981)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会科教育 / シティズンシップ教育 / 環境教育 / リテラシー / スキル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,社会科における環境(について,を通して,のための)シティズンシップ教育の授業構成や授業方法の検討が不十分であり,学校現場の期待や要求に十分応えられていない現状を改善するために,シティズンシップ教育の本質的要素である「スキル」とその育成に着目し,理念のみならず教材の開発・検討までを行うことにある。 そのためにまず,環境教育や持続可能な開発のための教育(ESD),社会科教育における市民的資質としての「シティズンシップ」の検討が理念のレベルにとどまっていることを明らかにするとともに,シティズンシップ育成をめざす社会形成のための授業展開,及び学習プロセスで育成されるシティズンシップのスキル・技能について仮説的に示した。 次いで教育学的な観点から,最近の主要な論説を対象に,技能としてのスキルよりも抽象度の高いリテラシーやコンピテンシーとシティズンシップとの関係を検討し,OECDのPISAリテラシー,DeSeCoコンピテンシーのどちらもが,認知と情意の双方を含む包括的な能力観でありつつも,DeSeCoの方がより多様性に配慮したものであること,一方で努力やノウハウとは馴染まない個人の人格や内面までをも評価の範囲に含めようとする危険性を有していること,UNESCOでは,経済的利益を超えた自由や教育までをもリテラシーに含めていること等を明らかにした。 続いて,米国のカリフォルニア州における食農教育政策とエディブル・スクールヤード・プロジェクト,オーストラリアのナショナルカリキュラム改革を事例として取り上げ,社会的経済的な弱者の権利と多様性を尊重する正義の問題としての環境シティズンシップについて,グローバルな視点から検討した。 最後に,以上を踏まえて,「東日本大震災のがれき処理問題」を具体的な教材として,スキルの育成を中心とした環境シティズンシップの授業構成について示した。
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