研究課題/領域番号 |
24531119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国語科教育 / 読むことの学習 / 一文読み / 読者反応理論 / ブッククラブ / リテラチャーサークル / 文学 |
研究概要 |
本研究は,国語科「読むこと」の学習において,一文の意味を考えるという解釈法と小集団討議という学習活動とを用いた指導法を開発し,その読解力向上効果について検証するものである。 平成24年度は,まず一文を読む解釈法の開発を行った。話者の判断や評価を表す言葉に注目すること,具体的には副詞,副助詞,終助詞,助動詞に注目することで,解釈が深まることを明らかにした。また,注目した言葉から解釈を紡ぎ出す方法として,四つのコツ(A言葉の削除による意味の変化,B類義語への置き換えによる意味の変化,C動作化・映像化による意味理解,D自分の経験との関連づけによる意味づけ)を検討し,妥当性を検証した。 次に米国ミネソタ大学リー・ガルダ教授を訪問し,小集団による読書プログラムの現状についてインタビューを行った。ガルダ教授によると,ブッククラブやリテラチャーサークルなど,様々なプログラムが存在するが,いずれもホールランゲージ教育に位置づくものである。ガルダ教授は,読書プログラムを推進するために,児童図書専門の図書室の必要性を強調しており,訪問時にミネソタ大学の児童図書室を見学した。 さらに,読解力向上効果の検証のため,京都教育大学附属桃山中学校2年生および京都市立上鳥羽小学校4年生に授業の試行的実施を行った。附属桃山中学校では,話者の判断や評価の表れる言葉に注目し一文を読む活動を中心として,「タオル」(重松清)を教材とした2年生3クラス各4時間の授業を行った。上鳥羽小学校では,動作の表れた言葉に注目し一文を読む活動を中心として,「世界一美しいぼくの村」(小林豊)を教材とした4年生1クラス2時間の授業を行った。現在話し合い記録を分析しているところであり,成果を次年度に報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は,国語科「読むこと」の学習において,一文の意味を考えるという解釈法と小集団討議という学習活動とを用いた指導法を開発し,その読解力向上効果について検証することである。 計画では,平成24年度は①一文を読む解釈法の開発,②小集団による読書プログラムの検討,③読解力向上効果の検証を行う予定であった。本年度は,①については計画通りの進捗であるが,②と③については計画以上に研究が進展した。②については,文献で考察することを予定していたが,文献での考察に加え,読者反応理論家のミネソタ大学リー・ガルダ教授にインタビューを行う機会が得られた。また,③については,当初試行的な授業を計画していたが,京都教育大学附属桃山中学校において4時間の単元を実施することができた。したがって,平成25年度の計画を前倒しして,研究を進捗させている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は,①小集団による読書プログラムの検討,②読解力向上効果の検証,③成果の公表という柱で研究を推進していく。①については,前年度に引き続き,実践・研究論文を検討することで,小集団による読書プログラムの意義と課題を解明する。②については,研究協力校において長期間のプログラムを実施する。小集団で一文を読む学習活動が,読解力向上にどのような役割を果たすのかを検証する。③については,全国大学国語教育学会において口頭発表を行うとともに,成果を『国語科教育』へ投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費については,平成25年度は大きな比率を占める経費の割り当てはない。消耗品費については,調査用紙,集計後のデータ保存用の記憶媒体等の購入経費,授業記録用の記憶媒体の購入経費,調査・研究資料保存用の文具の購入経費が必要である。謝金については,小集団による読書プログラムの専門的知識提供の講師に関する経費,各調査・授業記録の整理・集約補助の謝金のための経費が必要である。旅費については,研究会合の経費(研究協力者との授業打ち合わせのため,学校への出張への経費が必要),調査・授業実施のための経費(試行的授業は研究代表者が行うため,学校への出張経費が必要である。また,年間を通じた実施においては,定期的に訪問するため出張経費が必要である。)その他として,調査資料の郵送経費,研究会合(実験授業用の出張など)の会議室経費が必要である。
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