研究課題/領域番号 |
24531122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
松山 雅子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50173927)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CLPE / Power of Reading / Primary Language Record / Sue Ellis / リテラシー教授 / 現職研修 / 内ロンドン |
研究概要 |
平成24年度科研助成を拝受し、学会誌掲載の査読論文2本ならびに学術雑誌発表論文(査読無し)3本を公に問い、研究成果を公開し、継続研究への糧とした。 「旧内ロンドン国語教育センター機関誌'Langugae Matters'にみる教育改革の胎動―1980年代の書くことの教育を中心に」(『国語科教育』第72集、全国大学国語教育学会編,H24.9.30、pp.49-56)/「観察記録評価法による旧内ロンドン国語教育センター現職再教育の試み―Primary Llanguage Reportの開発・実施の素描から」(同前、第73集,H25.3.31、pp63-70)、ならびに「児童文学を核とするリテラシー学習指導法の素描-CLPE(小学校リテラシー教育センター)の'Power of Reading'を中心に」『学大国文』55号.H24.3.大阪教育大学国語教育講座・日本アジア言語文化講座編、pp.39-73/「小学校低学年の単元学習にみる「作家研究」入門ーCentre for Literacy in Primary Educationの読書力向上プロジェクトの試み」、同前,56号,H25.3.pp.71-90./「内ロンドン小学校英語(国語)科教育センターの読書力向上プロジェクト(Power of Reading)の開発行程―リテラシー実施調査から教授モデルのプログラム化へ」『国語教育学研究誌』27号、大阪教育大学国語教育研究室編、PP.179-191。 以上の論文発表の実証的データ収集を目的とし、平成24年10月4日~13日、ロンドン大学教育研究所における文献資料調査、CLPEセンターの現職研修参加およびセンター長、研修主任へのインタビュー、センターの紹介による内ロンドン公立小学校実践参観を行った。生の現職研修に触れ、スタッフとの研究交流はきわめて示唆深いものがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
助成を頂く以前から地道に行ってきた調査研究に、科研によって弾みをつけていただき、複数の研究論文として公刊しえた。全国大学国語教育学会においても数年口頭発表を重ねてきた研究をもとに、新資料などの考察を加味し、学会誌に掲載されたことによって、我が国の国語科の現職教育再検討にかかわる実証性を伴う問題提起ができたことをありがたく思っている。 イギリスでの調査研究が可能となり、ロンドンの当該現職教育センター所長、プロジェクト主任とのインタビューを実施し、研修の参加、資料収集の拡充をなしえたことは大きい成果のひとつであった。 当該センター職員、および、イギリスの英語(国語)科教育研究者(G.Kress(ロンドン教育研究所)、J.Marsh(シェフィールド大学)、D.Myhill(エグゼター大学)ほか)との研究交流のネットワークが広がりつつあることも、本研究を下支えしてくれている。リテラシー教授実践理論、方法開発、評価法の開発・推進、実態調査研究など、当該センターの仕事はきわめて広範囲渡り、かつ緻密で革新的である。継続研究を通して、その内実を探究し、我が国の国語科現職教育再検討への縁としたい。 また、現職研修センターは、洋の東西を問わず、文教政策を如実に反映する。イギリス初等教育における英語(国語)科の教育改革については、これまでまとまった研究書が刊行されていない。70年代以降の史的展開を資料によって追った基礎研究書をまとめ公刊への渦中にある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の調査研究を踏まえ、収集資料のさらなる検討、考察を行う。そのうえで、イギリスの教育改革において、70年以降今日に至るまで、Centre for Literacy in Primary Education の現職研修が果たしてきた役割を1、評価法の開発・推進・拡張、2(児童)文学を核としたリテラシー教授の開発・推進・研修実施、3センター主催の研修プログラムにみる現職教育観等を柱に、まとまった報告書として執筆し、研究成果を公刊する。 イギリスは、平成25年、新しいナショナル・カリキュラム導入の年に当たり、センターの現職研修が戸惑いの見られる現場へいかに対応していくか、インタビュー等によって新たな情報を得る。政権交代による変化と一貫して守り抜いてきたセンターの基本方針とのありようにも目を配りたい。また、これまでなお考察の行き届いていない機関誌90年代の掲載記事の精査を継続したい。 多面的、多角的な活動を行う当該センターの仕事は、多言語文化内ロンドンのありようを如実に反映し、軽々に概括しえず、またするべきものでもないと考えてきた。実地資料、文献資料を地道に考察しながら、現職研修センターにみるイギリスの教育改革の実の姿をとらえる努力を続けたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
1 報告書をまとめるにあたっての印刷、編集費補助。 800,000円 2 旅費およびロンドンにおける調査費。 450,000円 3 国内学会参加と発表にかかわる旅費等(全国大学国語教育学会、弘前5月、広島10 月) 130,000円 4 資料の整理データ化補助にかかわる謝礼 50,000円 5 関連書籍購入 50,000円
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