研究実績の概要 |
イギリス初等教育における国語科教育改革の内実を、現職教育機関であるロンドンのCentre for Literacy in Primary Eeducationの取り組みの分析・考察を通して,1970年設立以降40年の発展的展開を跡付けた。それは、イギリスの初のナショナル・カリキュラム制定以前の胎動期、具体的助走期、制定事後の調査・検証・改訂期と密接にかかわった国語科教師教育の実践理論の構築と改革の具現化の歴史を明らかにすることに繋がった。 初等教育6学年を視野に入れた考察を続けてきたが、最終年度、研究成果をまとめるに当たり、教育改革がもっともラディカルに現れる入門期および低学年を焦点化して取り上げることとした。 教師の自己評価力の育成を基盤とし、観察記録法の開発、普及に努め、ナショナル・カリキュラム制定過程にそった各種の実験的先見的な調査研究を継続的に敢行し、書籍として公刊し、教育界へ還元してきた国語科教師教育センターCLPEのシンクタンクとしての機能の一端をつまびらかにし得たと考える。また、センターは、多言語文化社会の現状にあって、児童文学をリテラシーの学習指導の中核教材に定め、読書力向上プロジェクトを開発、推進し、内ロンドン地域を越えて、全国的に、国際的に影響を及ぼしてきた。これら教育改革の具現者としてのありようを文献調査と実地調査の両面からとらえようと試みた。 科研費の助成を受けて進めることの叶った本研究の成果は、2014年9月、学位申請論文「イギリス初等教育における国語科教育改革の研究ーCentre for Language/Literacy in Primary Education の取り組みを中心に」として広島大学大学院に受理され、2015年3月、渓水社から公刊し、社会への還元を図った。
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