研究課題/領域番号 |
24531129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
加藤 久恵 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (00314518)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 算数 / 数直線 / メタ認知 |
研究概要 |
算数学習においては,知識だけではなくその知識をいつどのように使うかというメタ認知の重要性が指摘され,メタ認知の育成を伴った数学的知識の指導が必要である。一方で,現行の学習指導要領で注目されている言語力育成の観点から,数学的表現力の育成が注目されているが,その実践的研究はまだ十分な成果をあげているとは言えない。 そこで本研究では,数学的表現力の育成においては,数学的表現をいつどのように使うかというメタ認知を踏まえた指導ユニット(特定の学習内容における学習指導の流れを体系化した単元構成を指す)の開発を目指す。 具体的には,数学的表現のなかでも小学校算数科で学習する数概念の構成に大きく寄与する数直線に着目し,数直線の使用について子どもたちが有するメタ認知の実態を踏まえた指導ユニットの開発・実践的検討を行うことを目的とする。 平成24年度には,以下のように2点の課題に取り組んだ。 1-1.数直線の指導に関する理論的研究:算数科の学習指導においては,教科書をもとに数学的概念の構成が目指されている。したがって,まず教科書を分析することで,数学的概念の構成と数直線の学習のかかわりを検討する。さらに,数直線の指導に関する先行研究を分析し,その特徴を明らかにする。可能であれば,実際の授業場面を観察・分析し,学習指導の実態を考察する。 1-2.数直線の使用におけるメタ認知の実態調査研究:ここでは,子ども達が数直線の使用に関してどのようなメタ認知を有しているのかを調査するとともに,それに応じてどのように数直線を使用するのか,実態調査を行う。その際に,筆者のこれまでの調査結果をもとに,調査計画を立案する。この調査結果を踏まえて,数直線の使用を妨げるような否定的なメタ認知や,数直線の使用を促すような肯定的なメタ認知を同定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には,以下のように2点の課題に取り組んだ。 1-1.数直線の指導に関する理論的研究:算数科の学習指導においては,教科書をもとに数学的概念の構成が目指されている。したがって,まず教科書を分析することで,数学的概念の構成と数直線の学習のかかわりを検討している。具体的には,小学校算数科教科書(6社)における,数直線に関連する学習事項を洗い出し,その特徴を整理している。さらに,数直線の指導に関する先行研究を分析し,その特徴を分類整理しているところである。 1-2.数直線の使用におけるメタ認知の実態調査研究:ここでは,子ども達が数直線の使用に関してどのようなメタ認知を有しているのかを調査するとともに,それに応じてどのように数直線を使用するのか,実態調査を行う。これまでの自分自身の研究成果をもとに,実態調査の改善と検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては,以下のように3点の課題に取り組む。 2-0.平成24年度の成果の整理検討。 2-1.算数授業での数直線の使用におけるメタ認知を踏まえた指導ユニットの開発 1-1,1-2をもとに,数直線の使用において肯定的なメタ認知の育成を行いつつ,子ども達の思考の道具としてどのように数直線を指導していくのかを検討し,指導ユニット案を開発する。 2-2.上記の指導ユニットの実践的検討とその修正 開発した指導ユニットは,当然実践的にその有効性等が検証されなければならない。そこで,小学校現場での実践的授業を通して,その実践可能性や有効性を分析・検討し,必要な修正を加えていく。 開発した指導ユニットについて,小学校現場での実践的授業を行い,その実践可能性や有効性を分析・検討し,必要な修正を加えていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究に際して,下記のような概要で,研究費を使用する。 1.授業記録用ビデオカメラ,デジタルカメラ,ICレコーダー,データ収集用PC:指導ユニットの開発に向けた実態調査と,授業観察・分析に使用。 2.事務補助の謝金:授業分析とデータ整理のため。 3.旅費:学会発表と関連する研究者との議論のため。
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