研究課題/領域番号 |
24531130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
宮下 俊也 奈良教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50314521)
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研究分担者 |
大熊 信彦 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (20370083)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ESD / 音楽科教育 / 高等学校 |
研究概要 |
研究のスタートアップとして、まず、本研究の目的Aとして掲げたESDの理論的概念規定を行い、それに基づく音楽科の先行実践事例を探索した。その結果、ESDとしての音楽科の可能性は十分にあるものと判断できた。しかしながら、現在におけるその先行実践はきわめて少なく、一部についてもその意義が反映されてはいないものとして批判的検討を行った。その原因として、①教科理念にESDの理念が包含されているためにとりたてて実践化する必要はないものとして意識化されていること、②持続可能な社会づくりに貢献する行動力は、学校教育後「予定調和」として実現されるものとして捉えられていること、③音楽科の指導内容の本質的意味にあるESDの理念が理解されていないこと、の3点を導いた。 本研究のテーマである「高等学校芸術科音楽のカリキュラム開発」に接続させるため、中学校音楽科鑑賞領域におけるESDの可能性を論じる必要を重視し、現行学習指導要領における各指導内容について、「ESDとして獲得が期待できる力」を明示した。またそこに至るまでの段階を、Basic Level、Middle Level、Advanced Levelと位置づけ、それぞれの段階で到達させるべき力を具体的に示した。そのことにより、Advanced Levelとなる「ESDとして獲得が期待できる力」への道筋が明示できた。 加えて、Advanced Levelを授業で実現させるための方法として「思考」を取り上げ、具体的に思考させるテーマを指導内容ごとに提案した。 以上の成果を論文「ESD(持続発展教育)としての音楽科教育-中学校が鑑賞領域の場合-」としてまとめ、奈良教育大学研究紀要に投稿した(掲載審査中)。またそこに至るまでの成果は、日本学校音楽教育実践学会や全日本音楽教育研究会全国大会で発表し、教育現場に提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的Aのうち、アンケート調査は、先行実践事例の収集によってその意義が消滅した。逆に、当初の計画では中学校の検討は予定していなかったが、その必要性を認め実行した。そのことにより、高等学校のカリキュラム開発がいくぶん遅れてはいるが、中高接続の視点から研究効果はあった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、中学校について行った手法により、高等学校の指導内容とESDの関係を検討していく。その時、具体的な授業実践内容を合わせて検討していくので、授業の試行、教材開発、評価方法の策定が本年度の重点的課題となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度958円の残額が生じたが、これを含め、主として授業内容開発のための実践者との会議費、交通費、実践者への謝金等に使用する。
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