本年度は研究のまとめとして、わが国児童・生徒の「読解力」(Reading Literacy)育成のための教材として絵本(とくに現代絵本)がどのような有効性を持つのかということを検討した。次のような成果が得られた。 (1)現代社会で必要な「読解力」(Reading Literacy)育成のために考えていかなくてはならない諸課題を必要な理論、教材・学習材論、指導論それぞれの角度から多角的に議論し、単著としてまとめた。 (2)米国の最新の文献をくわしく調べながら、「読解力」の根幹となる、「理解する」(わかる)ための方法とそれを使った成果に関する研究を行い、全国学会等で発表した。それらの研究をもとにしてA5版113頁の報告書をまとめた。 (3)「読解力」育成材としての絵本の有効性を生かす指導方法論については、日本の中学校国語科における実践的な研究を行い、日本の国語科において活用可能な新しいアプローチについての提案を行った。さらに、当該領域で、国際的に評価の高い「理解するための方法」(comprehension strategies)指導に関する文献を翻訳・出版した。「理解するための 方法」指導を進める上での課題をより明確にした。
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