研究課題/領域番号 |
24531134
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柴 静子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90141770)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 技術・家庭科 / 家庭基礎 / モードのジャポニスム / 柿渋染 / 布のちから / 生活文化 |
研究概要 |
本研究の目的は,このテーマのもとで以下のような手順で小・中高等学校にわたる学習プログラムを開発し,その効果を検証して広く普及を図り,児童・生徒の成長に資することである。①研究課題の明確化,②きものや布の実物を含めた資料収集,③プログラム一次案の作成,④小・中・高等学校の協力校での授業実践,⑤実践から得られた改善点の明確化,⑥プログラムの修正,⑦修正プログラムに基づく授業実践と評価,⑧授業のモデル化,⑨モデル授業の普及という9段階を取っている。さらには⑩家庭科教育の立場からできる大震災の被災地支援として,当地の高等学校における本プログラムの導入と布を使ったファッション・マグネット製作の指導ということを計画している。研究期間中に明らかにしたいことは,小・中・高等学校の衣生活の教育を改善・向上させるために,「『布のちから』を発見し,布を使って『イメージ表現活動』をすることによって、『生活文化力』培うこと」を目的とした新しいプログラムを構築し,広島大学の附属学校等での授業実践を通してその効果について検証すること,並びにその効果が示されたときは,広く一般の学校現場に普及することである。平成24年度は、中学校「技術・家庭」と高等学校「家庭基礎」において、上記の①~⑩のうちの最初の5つに関する研究を深めることができた。これらの成果については、広島大学附属東雲中学校の研究紀要及び広島大学学部・附属学校共同研究紀要に掲載した。前者の論稿は、木綿布を柿渋で染めて弁当袋を作る授業実践を報告したものであり、後者はモードのジャポニスムについての授業実践を取り上げている。アンケート調査等から、いずれにおいても高い授業効果があったことが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広島大学附属東雲中学校、同附属広島中・高等学校、同附属福山中・高等学校の家庭科教師たちと共に、実際に本申請のテーマに深く関連する内容を研究し、実験的な授業を構築して、実践・評価するという協同作業が行われていることが進捗の最大の理由である。それと共に、科研費補助による実物衣装や布類の購入がスムーズに行われていることも大きな理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究から、中学校の場合は、生活文化力を培うことが課題となった。そこで、25年度は、ジーンズ生地と柿渋染め生地で自作絵本を入れるバッグをつくり、途上国の子どもたちへ贈物をすることを通して、生活文化力を培う授業を計画している。高等学校の場合は、モードのジャポニスムを引き起こした実物衣装を生徒に観察・研究させることにより、確かにジャポニスムがあったことを確証させると共に、西欧の人々を熱狂させた「刺繍のきものガウン」等の精緻な観察と考察をとおして、明治のものつくりの秀逸さに気づかせる授業を構想し、実践して、効果を確かめる予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
モードのジャポニスムに関連している実物衣装やきもの地、絵本バッグ製作用の柿渋液やジーンズ地などの購入に関する支出が予定されている。また、学会に参加して関連の情報を得ることも必要であり、そのための旅費が予定されている。
|