研究課題/領域番号 |
24531136
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
秋田 美代 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80359918)
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研究分担者 |
齋藤 昇 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (60221256)
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キーワード | 各教科の教育 / 算数・数学 / 創造的問題解決力 / 授業モデル / 教師教育 |
研究概要 |
本研究の目的は,研究代表者らがこれまでに明らかにしている算数・数学教育における創造性発揮の阻害要因である「問題解決における思考の一時的滞留」を打開する教材の作成を行うとともに,学校数学において学習者の創造的問題解決力の育成を図るための数学授業モデルの開発を行うこと,及び数学教育の質の向上を図るために開発した数学授業モデルを軸として算数・数学科担当教員の授業実践力を向上させる手法を構築することである。 この研究目標を達成するために,平成25年度は,平成24年度に構想を立てた数学授業モデルを完成させ試行を行うこと,及び数学授業モデルをもとに教員の授業実践力の構成要素を同定することを行った。 その具体的な内容は,次の通りである。 ①平成24年度に構想を立てた数学授業モデルの開発を引き続いて行い完成させた。その後,開発した数学授業モデルを中学校の数学の授業で試行し,有効性を検証した。さらに,開発した数学授業モデルを,学習者の認知過程から解釈し分析することで,創造的問題解決力発揮のための学習者の数学学習モデルを構築した。②開発した数学授業モデルを基に,教員の授業実践力を科学的・客観的に捉えるために,教員の授業実践力の構成要素を同定し,測定・評価用具を作成した。作成した測定・評価用具を大学学生の教育実習で試行し,有効性を検証した。①②を行うことで,学習者が獲得した知識や技能を学習・生活場面で活用できるようになるために有効な授業方法,数学教育の質を高める指導において必要な要件等が明らかになった。 これらの研究活動から得られた成果については,国内外の学会での研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,学習者の創造的問題解決力の育成を図る数学授業モデルの開発し,さらに開発した数学授業モデルの適用を効率的に展開するために,3年間の研究期間で,次の①~⑤の内容を実施する計画を立てた。①創造的問題解決力創出過程を解明すること。②「問題解決における思考の一時的滞留」を打開する教材を作成すること。③創造性を育成するための数学授業モデルを開発すること。④算数・数学科教員の授業実践力構成要素を同定すること。⑤算数・数学科担当教員の授業開発力・授業実践力の向上手法を確立すること。 平成25年度は,主に③と④についての研究を進めた。③の創造性を育成するための数学授業モデルを開発することについては,モデルを完成させると共に試行を行い,開発したモデルが既習事項の活用力を高めるために有効であるとの結果を得た。また,開発した数学授業モデルを,学習者の認知過程から解釈し分析することで,創造的問題解決力発揮のための学習者の数学学習モデルを構築した。④算数・数学科教員の授業実践力構成要素を同定することについては,開発した数学授業モデルを基に,教員の授業実践力を科学的・客観的に捉えるために,教員の授業実践力の構成要素を同定し,測定・評価用具を作成した。作成した測定・評価用具を大学学生の教育実習で試行し,有効性を検証した。 研究計画は,当初の研究計画通り順調に進んでおり,これまでの研究活動から得られた成果については,国内外の学会での研究発表を行った。 研究の進捗状況から判断して,残された研究期間の間に⑤の算数・数学科担当教員の授業開発力・授業実践力を向上するための手法の確立を行い,確実に研究目標の達成ができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,これまでに行ってきた,創造性を育成するための数学授業モデルの開発,及び算数・数学科教員の授業実践力構成要素の同定を基に,算数・数学科担当教員の授業開発力・授業実践力を向上するための手法を確立する。 そこでは,次のような研究計画で,研究を推進する予定である。①教師が数学授業モデルを基に,授業において重点を置いて指導すべき内容を明確に捉えることができるようにする。②学習者の発達段階や理解状況に合わせて適切に授業を修正・改善できるようにする。③開発した教員の授業実践力測定・評価用具を使い,教師が自己の授業の改善すべき点を把握できるようにする。④①~③が授業改善のためのPDCAサイクルとしての機能をもたせるシステムを構築する。教師の授業開発力・授業実践力を向上させる手法は,大学・大学院における教師教育への適用までを含めて考える予定である。 なお,26年度の研究活動から得られた成果については,順次,国内外の学会での口頭発表,学会誌への投稿等を行う。
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