研究課題/領域番号 |
24531140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井上 洋一 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90510892)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音楽科教育 / 音楽デザイン / 創作 / 音楽づくり / ICT活用 |
研究概要 |
本研究は、音楽表現活動のプロセス全体をさす「音楽デザイン」の概念や構想を取り入れ、誰もが音のイメージを具体化し、生活の中に「音の記憶」を根付かせることができる創造的な音楽表現活動の実現を目的とするものである。その一方法として、ICTを活用した音楽学習プログラムの開発と実践を行う。 24年度はICT活用のための環境整備として、タブレット端末であるiPad一式(生徒用10台、教師用3台)を購入した。また、愛媛大学教育学部附属小中学校の音楽室に、無線LANネットワークを導入した。 創作活動や音楽づくりの実践研究については、小・中・高音楽科教員が参加する講習会やワークショップで授業プランを提示し、実践の可能性を探った。愛媛県立松山東高等学校の協力を得て、高校1年生を対象に、iPadと音声合成アプリを活用して、校内で撮影した写真に俳句と音楽をつける創作活動の授業を行った。この実践研究の概要は、愛媛大学教育実践総合センター紀要第30号(25年8月発行予定)で発表する予定である。 他大学の音楽デザインに関するカリキュラムやICTを活用した音楽学習プログラムについて、日本電子キーボード学会の第8回全国大会に参加し、多くの情報を得た。電子キーボードとアコースティック楽器によるハイブリッドオーケストラの演奏とソルフェージュ能力の関連、iPadを用いた初等音楽科教材の開発等、大学をフィールドとする研究を知り、大学で行われている最新の動向を把握するとともに、本研究の参考となる貴重な資料を得ることもできた。 研究者自身も、25年度中に、造形作家とのコラボーレーションによる作品発表を2件行い、音楽デザイン的構想に基づいた創作活動を行った。この成果は論文「空間を演出するための音楽-ギャラリーのための音楽をつくる-」(愛媛大学教育学部紀要第59巻)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
創作指導を行うためのICT環境整備として、生徒用iPadを10台導入し、4人1組でグループ創作を行った。しかし、実際に授業実践を行ってみて、2人ペアや1人ずつの創作が望ましいと思われる場面や内容があり、iPadの追加購入や学習形態に応じたICT活用法の再検討が必要と感じた。 今後、学校現場での実践研究をより推進していかなければならないが、ICTの活用やコンテンツ作成には、実際の指導にあたる教師のスキル向上も必要である。そのためにも、研究者からの現場へのサポートも重要な研究内容である。附属小中学校での実践では、音楽室に無線LANの環境もあり、研究室で作成したコンテンツを附属小中学校の音楽室と共有することが比較的容易であった。しかし、他の公立学校で行う実践では、各学校のネットワーク環境やセキュリティ上の問題もあり、研究室からのるサポートや遠隔指導のシステムを運用することは困難である。モバイルルーター等を導入する計画であったが、iPad本体の追加購入することを優先したい。 本研究の目的である、創作活動、音楽づくりを音楽科教育に根付かせるためには、より多くの学校、より多くの教師が実践可能な汎用性の高い学習プログラムを提供しなければならないと考えており、実際の授業内容や指導方法は、学校現場の環境整備状況や現場教員との連携の進展によるところが大きい。2年目以降も実践研究では試行錯誤が予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに実践研究を推進するため、附属学校や公立学校との連携を密にしていきたい。各学校の児童・生徒の実態やICT環境の状況に応じた授業プランの提示と指導のサポートができるように、オンライン、オフライン両方のコンテンツの充実を図りたい。 また、教育委員会との協力を得て、音楽科教員を対象としたセミナーやワークショップに積極的に赴き、ICT活用と創作指導のスキルアップに力を入れていきたい。 2年目から、研究の評価にかかわる児童・生徒の「音の記憶」に関する分析として、テキストマイニングの手法を取り入れる計画であるが、創作指導の実践研究と合わせた授業評価の場面に限定して、試行的に行ってみたいと考えている。 研究の成果は、学会発表や愛媛大学の紀要等での論文発表を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
1年目の研究から、グループで行う活動が望ましい活動、個人で行う方が効率的な学習等があることがわかった。そのため、iPadより軽量、安価でありながら、ほぼ同等の機能をもつiPad miniを追加購入する予定である。授業の内容に応じて、iPadアプリや授業評価のためのソフトも購入する。 また、2年目の研究計画にそい、子どもの作品を保管するサーバーや作品発表のためのホームページ作成にも着手したい。
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