研究課題/領域番号 |
24531147
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
吉村 功太郎 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00270265)
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研究分担者 |
水山 光春 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80303923)
渡部 竜也 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (10401449)
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キーワード | シティズンシップ教育 / 社会科教育 / 市民性育成 / 国際情報交換 |
研究概要 |
研究二年目(H.25年度)の主な研究内容は大きくは次の2点である。 一点目は、米英のシティズンシップ教育調査に関する件である。①シティズンシップ教育の国際学会であるCitized(日本にて開催)に参加して研究者との研究交流を通じ、米英を始めとするシティズンシップ教育の動向や具体的な教材に関する情報・資料収集を行うとともに、英国での政権交代に伴う教育政策の変更を反映させたカリキュラム改訂に関する最新情報に触れることができた。②英国のシティズンシップ教育の研究者を招聘し、英国の学校教育におけるシティズンシップ教育の位置付けと今後のあり方を主題としたレクチャーと研究協議を行った。③米国調査を実施し、米国のシティズンシップ教育研究者との研究協議、ならびに複数の学校の実践観察と教員へのインタビューを行った。 二点目は、日本のシティズンシップ教育に関する件である。①宮崎県の小中一貫校を中心に授業観察やインタビュー調査、カリキュラム分析を行い、シティズンシップ教育としての特質と課題を明らかにするとともに、教育実践として継続的な実戦が可能になっている条件を、教育行政、学校教員、地域社会といった観点から分析を行った。②日本で先進的なシティズンシップ教育実践と評価されているカリキュラムをその改良・発展プロセスを中心的な観点として分析し、シティズンシップ教育としての発展と継続的な実践の基盤を探った。 今年度は二点目の日本のシティズンシップ教育に関する分析結果を中心に、学会や大学主催のフォーラムなどでの発表、論文掲載の形で研究成果の公開を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象とする三カ国の内、日本のものについては複数校のデータ収集と分析、及び研究成果の公開を行っており、おおむね進んでいると考える。研究1年目(H24年度)において明らかになった研究方法上の課題(事例に関するデータ収集と分析に想定以上の時間と手間が必要である)をふまえ、調査対象や項目の絞り込み等を行うことで、具体的な成果を積み重ねることが可能となった。 英国については、H25年度に新しい改訂カリキュラムが発表され、その実施へ向けて様々な施策が開始されたところである。新カリキュラムに関する情報収集を行うと共に、新カリキュラムに対応する各学校段階でのカリキュラム開発の動向の情報収集を行ったところである。したがって、新カリキュラム対応によって学校の状況が大きく変わる可能性もあり、英国での学校実地調査は新カリキュラムが実施に移される予定のH26年度秋以降に行うこととした。 米国については、ニュージャージー州の複数の学校とそれらを支援しているラトガース大学の社会科教員養成教員への訪問調査を3月に実施した。集めたデータをもとに、分析を行っている所であり、その研究成果はH26年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年目終了時(H.25年度末)までの研究の積み残しを含め、以下のように研究を進めてまとめを行う。 そのために、以下の4点を達成目標として掲げる。 ①日本の事例については、これまで分析を終えた宮崎県の事例にプラスする形で、研究対象としてピックアップしているもの(埼玉県桶川市立中学校の事例、お茶の水女子大学附属小学校の事例など)の追加調査と分析を行い、その成果をまとめる、②英国についてはカリキュラム改訂の動向を把握し続けるとともに、これまでも継続的に訪問調査を行ってきたヨーク市の中等学校への訪問調査を実施し、新カリキュラム移行1年目の実施状況なども含めて分析結果をまとめる、③米国については、H25年度末に訪問調査を実施したニュージャージー州の複数の学校におけるカリキュラムや実践の分析を進め、その成果をまとめる。④以上の日米英のシティズンシップ教育に関する分析結果を比較・考察し、シティズンシップ教育の特質及びその継続・定着の背景について、その特質的な異同を明らかにする。また、上記の研究成果は、逐次学会などで発表するとともに、論文化を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算を大きく残した主な理由は以下の三点である。①シティズンシップ教育国際学会であるCitizedが日本での開催であり、3名分の旅費が国内移動で済んだこと。②英国のカリキュラム改訂が行われたため、改訂後の状況も合わせて調査を行うために英国調査を次年度に延期した。③公務の関係で、米国調査に行けなかった研究分担者が発生したため。 延期した英国調査を実施すると共に、日本国内で未実施の調査を行う。
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