研究課題/領域番号 |
24531149
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
荷方 邦夫 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (40347357)
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研究分担者 |
島田 英昭 信州大学, 教育学部, 准教授 (20467195)
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キーワード | 教員の職業適応 / 美術教育 |
研究概要 |
25年度については,24年度に収集した美術教員に対するインタビューデータの分析が中心であったが,同時に更なるデータの収集についても重ねて行った。特に教員になって間もない初任の教員についてのデータは今年度から収集することが可能になり,2名の調査データを得た。 また,本研究は芸術系大学出身の美術科教員の職業適応が主眼となっているが,対照となるデータの収集として,教育系大学出身の美術科教員との比較についても行うべく,対象者を新たに得て同様のデータ収集を行った。 現在までに9名の教員を対象としてインタビューを行い,分析を進めている。その中の重要な知見として,美術科教員の職業適応,あるいは職業上の満足を支持する最も重要な点は,自らが関わる美術という対象に対して,どのような関わりを持つことができているか,自らのアイデンティティとなる芸術活動と自らの関わりについて,どれだけ満足,あるいは自らのおかれた状況の受容が達成されているかという点にあると見ることができる。また,若い教員を中心に教職としての任務,特に教科外の職務についての適応がいかに達成されているかも,職業への適応を左右する重要な点であることが示唆されている。 当初計画していたインタビューマトリクス,あるいは分析の視点については上記の知見なども含め完了している。また,得られた結果と分析については,26年度のうちに質的研究の手法にしたがって整理し,発表できるように準備される予定となっている。 関連する研究として,大学における美術・造形教育が,美術・デザインの高度職業人にどのような影響を与えるかについての議論を行い,研究として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定されていたインタビューデータの収集は順調に進んでいる,またデータの整理・分析についても,26年度の研究発表に向けて順調に進められている。研究計画時に予定されていた分析方法については,研究の進展にしたがって修正が必要とされることも明らかになったが,得られた結果について利用の価値を失わないような方策についてもある程度の見通しが立っている。結論として,25年度の目標である効率的な分析のについては,概ね達成されていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の研究終了の目標としていた,インタビューの実施,質的心理学的手法による分析をもちいた手続きの再検証については,概ね達成されるであろう見通しが得られている。また,新たな研修プランの提案についても完了時までに行えるように予定している。 現在までの順調な進捗状況をうけ,残された時間を最大限に使って,さらに可能な限りインタビューデータの収集を増やしていくことも考えている。より精緻な分析のためにも収集活動は推進していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額の発生は,まず旅費について予定されていた外国旅費が研究のスケジュールの関係で見送られたこと。また分析補助に係る謝金が,予定されていた工数より効率的に実施できたことなどによって,予定より残額が発生したことによる。 次年度使用額の発生を受け,26年度については,さらに研究を充実させるための活動に充当するものとする。新たに実施する活動として,美術教育に関する研究発表会の開催などを予定している。また,海外における研究・調査活動も,今年度は実施を予定している。
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