平成26年度は,研究のまとめの年度である。よって,ICTを利活用した理科授業の理論的枠組みである「ICTを活用した自己調整学習実践のための理科教授スキーム」の有効性を示し,教育関係者に知らせる為に以下の二つの視点から活動した。1.理科教授スキームを使った授業の構想と実践によって,実践事例を増やし,得られた成果をもとに理科教授スキームを更に精緻化していく研究活動。2.授業実践の成果を普及させていくために,学会や研究会等で発表する活動。本年度の研究実績について,これらの視点からまとめる。 1の概要は以下の通りである。授業構想と実践,分析を行ったのは小学校,中学校,高等学校である。小学校の事例では,授業の状況をプロトコル分析を行った結果,ICT機器を利用した教師の教授活動に呼応して,子どもの認知的な変容が見られた。このことから,教師の教授ストラティジーが有効に機能していることが示された。また,中学校の実践事例においては,授業実施から1年経過した子どもの状況について追跡調査を行った。その結果,ICT機器を利活用して行った授業を受けた子どもとそうで無い子どもの間に理解の程度について差が見られた。高等学校の実践では,子どもの学習状況の分析から問題点を抽出し,それを克服する授業の構想を教授スキームをベースにデザインして実践した。子どもの学習状況から授業の有効性が示された。 2の概要は以下の通りである。研究成果をまとめ,更に広めるための活動を行った。具体的には,7つの雑誌論文(うち査読誌1)としてまとめた。また,8つの学会発表を通して研究成果の広報とそれに対する意見をいただいた。更に,ICT利活用に関する研修会講師や講演(高等学校2件)への対応,研究協力者が所属する自治体等の研究会,研修会などを通しての成果の発表を行った。
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