本研究は、農業高校での教科「生物活用」の学習方法である「交流活動」や「療法的手法」に着目し、そこでの授業実践や障碍者との交流活動の在り方などについて多面的な調査を行うことを目的としている。具体的には、農業高校で行われている実践と特別支援学校との連携による交流授業に焦点をあて、そこでの共同授業の有り方やその課題について調査研究を行った。 現在農業高校では、農業高校の広大な土地を活用し、「特別支援学校」などが併設される傾向が多くなっている。さらには、農業高校内においても発達障害の生徒が入学してくる傾向が多く、彼らへの理解とその学習対応が差し迫った課題がある。この視点を踏まえて、1つは、特別支援学校を併設している農業高校とその特別支援学校との共同授業における実践を通して、そこでの連携授業の運営方法や指導方法について、現地調査から明らかにした。もう一つは、多様な生徒を受け入れている農業高校における学習障害を持った生徒の実態やそこでの授業対応などについて担当教員及び進路指導教員への聞き取りを行った。2校での調査を通して、生徒に対する指導方法や実習授業における留意点さらには、進路指導及び進路支援にむけての課題も明らかにした。 今後、この「生物活用」が目的とする「交流活動」や「療法的手法」やさらには多様な生徒の進路保障を実現するためには、学校と関係諸機関との地域連携や学校間連携が必要である。そのことで、学校内で完結しない幅広い学びへと展開させ、実践的学びと新たな農業福祉教育の在り方を示していくことが今後の「生物活用」の方向性であることを見出すことができた。
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