研究課題/領域番号 |
24531158
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研究機関 | 洗足学園音楽大学 |
研究代表者 |
澤田 篤子 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 教授 (00101262)
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研究分担者 |
山本 華子 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 講師 (00574287)
神蔵 幸子 洗足こども短期大学, その他部局等, 教授 (20289804)
長谷川 真由 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 講師 (70465392)
金井 公美子 洗足学園音楽大学, 音楽学部, 准教授 (60627389)
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キーワード | 音楽教育 / 日本伝統音楽 / 教材開発 / 学校教育 / 幼児教育 / カリキュラム / 地域交流 / 韓国国楽教育 |
研究概要 |
本研究課題は、①伝統音楽に関わる授業実践報告・研究論考の分析・検証、およびこれらに基づく教材開発・授業プログラムの作成、②韓国国楽教育の実状と国の支援体制の調査、③近隣の学校園における伝統音楽を教材とする指導実践、の3つの柱から成り、以下この区分により記述する。 ①小学校における篠笛指導について、過去の実践を検証した上、篠笛によるお囃子づくりの授業プログラムを立案し、幼児教育については、わらべ歌を保育に取り入れている幼稚園の実践報告を収集、またわらべ歌を取り入れていない幼稚園の園児にわらべ歌の体験をさせ、③の保育実践への可能性を模索した。 ②11月に韓国仁川市、ソウル市、京畿道内の小中学校5校における国楽の授業とクラブ活動、および京仁教育大学の国楽授業を調査し、さらに同大学の権徳遠教授・黄炳勲教授と教員養成における伝統音楽教育について意見交換を行った。8月には国立国楽院の国楽振興課の朱宰槿氏および国楽研究室の徐仁華氏その他に国楽の伝承・保存や教育政策等に関するインタビュー、教員を対象とした国楽研修の調査を実施した。 ③お囃子作りの授業プログラムに基づき、本研究機関近隣の小学校4年の全児童を対象に、篠笛を用いたお囃子作りの授業を全3時間実践した。その後に、この児童から有志を募り、児童が作ったお囃子に大学生の篠笛や和太鼓を加えて、お囃子をつくり、すでに祭り囃子の伝承が途絶えた地元の神社の例大祭に子ども囃子として参加した。地元の人々に深い共感を与え、次年度以降の参加も要請された。 なお、年度末に研究代表者・分担者・協力者計5名およびゲストとして宮下俊也奈良教育大学教授を招聘し、平成25年度の研究成果を各々発表した上、意見交換を行い、さらに次年度の研究計画を一部見直した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した①②③の3つの柱の各々の達成度は以下の通りである。 ①過去の伝統音楽の授業実践のデータ収集はほぼ完了し、授業プログラムの試案の蓄積が行われている。本柱では今年度の目標がほぼ達成されている。 ②については仁川市に加え、新たにソウル市、そして都市部から少し離れた京畿道という環境の異なる学校での調査ができた。また国立国楽院調査についても研修を受講した教員にインタビューを行い、その後、メールによる情報交換を行うなど、当初の計画を上回る成果が得られた。 ③については小学校を対象とした実践では本課題当初の計画にはなかった学校と地域および研究機関の協働による活動を実践し、地域に根ざした伝統音楽学習のモデル構築に至ることができた。その反面、昨年と同様、幼稚園を対象とする調査が計画通りには進展しなかった。 以上のことから③については多少遅延しているものの、本研究課題全体としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の柱①②③における方策は以下の通り。 ①平成26年度は新たに幼児教育関係の研究協力者を加え、これまで不十分だった幼児教育関連について資料収集・整理を進めていく。 ②これまでの調査における国楽授業のうち特徴ある授業実践者への追跡調査を行い、また今年度は日本における沖縄と本土との関係に共通する済州島を対象とし、半島とは異なる独自の文化という面からの指導の理念や実践について調査を行う。ソウル国立国楽院での教員を対象とする研修については追加の質問紙による調査を実施し、昨年度の調査を補強する。 ③新たに加わった研究協力者により、地元の伝統音楽を保育に取り入れるなど、伝統音楽を積極的に保育に取り入れている幼稚園の調査を行う。昨年度実現した篠笛の授業成果を地域の祭りの子ども囃子に発展させる活動をより進展させ、また例大祭以外の地域交流の場で子ども囃子を実践し、小学校・地域・研究機関の三者が一体となった地域連携の活動を一層推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の長谷川真由が体調不良のため、フィールドワークを要する調査が進行せず、予定していた機材・教材の購入や旅費の支出がなく、また同じく研究分担者の山本華子が調査のため、ビデオカメラと関連用品の購入を予定していたが、調査計画が次年度にずれこみ、購入をしなかった、という2点の理由による。 昨年度体調不良だった長谷川は今年度も出産・育児のためやはりフィールドワークができないが、今年度新たに加わった研究協力者の東元りかがその研究面について補完し、未執行分を執行する。また山本については、研究協力者の金奎道が協力して、調査等を補佐する。
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