本研究において得られた実績は,クリッカー活用に基づいて開発された双方向参加型学習環境による算数・数学科教員養成プログラムとその具体的成果の検証報告である。それらの成果は World Association of Lesson Studies International Conference(WALS)やInternational Conference on Educational Research(ICER)などの国際学会での研究発表において広く参照されることを通じて,<算数・数学授業の難易度の即時調整>や<匿名性の担保による参加意識の促進>等の利点が共有され,算数・数学科教員養成課程の学生のアクティブラーニングを支える学習環境が実践的に明らかにされた。また同時に,携帯可能な配付方式の小型クリッカーによる多肢選択型問題回答を即時集計,グラフ表示によって可視化するアプリケーション(VBA)適用の大学授業での標準化を通して,教員養成プログラムにおける双方向参加型学習環境下での指導と評価を一体化する諸条件が具体的に明らかにされた。また,それらの実践的な知見には,クリッカーを用いた学生同士の活動参加による集合知の探究が,旧態的な講義型Chalk&Talkによる一方通行授業の改善に資することを示す確固たる事例提出であると同時に,学生による主体的な学びを促すという今日の社会的な要請に応えた知見を見出す意義が認められる。
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