研究課題/領域番号 |
24531170
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
杉江 光 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40271720)
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研究分担者 |
石田 久大 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30193329)
二橋 潤一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70312428)
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キーワード | アイヌ語 / 音楽劇 / 作曲 / 異文化理解 / 音楽鑑賞教育 |
研究概要 |
平成25年度は、台本の作成および作曲を進めた。題材は「シマフクロウの伝言」とした。研究代表者と分担者が密に連絡を取り合い、協議しながら題材を吟味した。また、台本の文化的正確性を保証するために、アイヌ文化研究家である太田満氏、川村久恵氏と台本について貴重な助言を得ながら、台本担当の石田久大氏によって台本が完成した。物語のあらすじは、以下の通りである。 「石狩川の近くのアイヌコタン。鹿、鮭、山菜などが全く取れず、アイヌの人々が餓えに苦しんでいる。そこでコタンの守り神である、コタンコロカムイが食べ物の神に伝令を向かわせることとした。雄弁な者は、誰かおらんかと言うコタンコロカムイに調子の良い知能に自身のあったパシクル(カラス)が名乗りをあげる。しかし、コタンコロカムイの伝言(アイヌ語)はとても長く、途中でパシクルは居眠りをしてしまい、放り出される。(文字をもたないアイヌにとって、雄弁であること、正確に記憶して相手に伝えることはとても重要)一部始終を影から見ていたエヤミ(ものまねの上手な鳥)がその伝言を伝えることとなり、天の国に行く。天の国では、食べ物をつかさどる神々が、人間の食べ物に対する扱いの悪さや神に感謝することがなくなったことを嘆いている。そこにエヤミがやってきてコタンコロカムイの声真似をして伝言を伝える。コタンコロカムイと思っていた神々は、本当はエヤミだと知ってエヤミを殺そうとする。そこに神々の妹が「人間とカムイがお互い助け合ってゆくもの」と説得し、食べ物を大切にすることを条件に再び人間に食べ物を与えることにする。夢のお告げでその事を知った人間たちが改心し、幕となる」 上記の台本に二橋潤一氏が作曲し、音楽劇が完成した。また、公演に必要な打楽器等の整備を行った。 研究代表者と分担者によって舞台の構成や演出、公演先、アイヌ語の伝え方など、26年度の公演に向けて打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音楽劇の台本と作曲の制作は順調にすすんでおり、26年度にその成果を検証できる状況であるから。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、実際に子どもたちに向けて音楽劇の公演を行い、その教育効果を検証することになる。北海道教育大学旭川校の学生による公演、北海道教育大学岩見沢校の学生における公演の2つの公演を行う計画である。 具体的には、旭川では、一つの学校において公演を行い。岩見沢校の学生における公演は、公共ホールにおいて、複数の学校、保護者、地域住民を含めた鑑賞者を対象として行う予定である。また、音楽劇「シマフクロウの伝言」の作品自体が本研究の成果物であるので、音楽劇スコアとして製本し、26年度の科研費報告書として提出する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度に行う音楽劇公演を2公演としたため、平成26年度に予算を多く計上しなければならないため。 本研究の成果物である音楽劇「シマフクロウの伝言」のスコア印刷およびホール使用料として、また、大道具、小道具、衣装などの制作費として使用する。
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