本研究の内容は、学校教育現場における鑑賞教材としてのアイヌ語によるオペレッタの制作と学生によるオペレッタ公演である。26年度にアイヌ語によるオペレッタ「シマフクロウの伝言」を完成させた。作曲は共同研究者の二橋潤一氏、台本は共同研究者の石田久大氏である。アイヌ語はシマフクロウがカラスのパシクルやエヤミに長い伝言をする場面、およびポンクトシントコ(座り歌)、フッタレチュイ(踊り歌)の場面で用い、字幕を付けて子どもたちにわかりやすく興味関心を惹くものとした。アイヌ語のテキストおよび生活における所作については。アイヌ文化およびアイヌ語研究家の大田満氏にその内容および動作の指導を仰ぎ、アイヌ文化を正確に伝えることのできる作品となった。加えて大田氏からアイヌの人が本当に大切にしてほしいコンセプトを台本に活かせたことは本研究の宝であると考える。また、アイヌ伝統の踊りにおいては、近文アイヌ記念館の川村久恵氏の指導を仰ぎ本物の踊りを舞台で表現できるよう配慮した。前述のように、本研究の成果物であるるオペレッタ「シマフクロウの伝言」は、アイヌ研究家たちの貴重な助言を仰ぎながら共に作り上げたオペレッタであり、大変質の高い作品に仕上がったと実感している。 公演は、3月3日に上富良野町立東中小学校(旭川校の学生による公演)と3月17日に札幌市教育文化会館(岩見沢校の学生による公演)の2回行い、子どもたちから、また、一般市民から好評を得た。本研究の成果物であるオペレッタのスコアは、印刷物として作成しているところである。
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