• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

震災エピソードの教材化:認知心理学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 24531171
研究機関東北大学

研究代表者

邑本 俊亮  東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (80212257)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード文章理解 / テキストからの学習 / 記憶 / 談話分析 / 防災教育 / 授業デザイン
研究実績の概要

第一に、津波防災教育教材「稲むらの火」を用いた文章読解・記憶実験を、日本人大学生を対象として実施し、前年度に実施した中国人の実験結果と比較した。その結果、文章の理解や記憶に関しては、「村人が地震の揺れに気がつかなかった」ことや「津波襲来」の場面で、中国人と日本人の間に違いがみられたものの全体として大きな差はなかった。しかし、文章から何を学んだかについては、日本人が「他者を救うためには損失を恐れない」が多数を占めたのに対して、中国人では意見が分かれており、「津波が来たら高いところへ避難する」「他人を思いやる心が大切だ」「津波の前兆が分かった」「わずかな変化に注意することが大切」など学習者によって異なる学びが成り立っていることが明らかになった。震災エピソードの教材化にあたっては、学習者の知識差に加えて文化差にも注意する必要があることが明らかとなった。
第二に、東日本大震災の被災者の体験談の分析を進めた。震災体験談には、実際に起こった出来事に加えて、語り手特有の陳述(後悔、教訓、意味づけ、悟り、感情など)が数多く含まれていることが明らかになってきた。震災体験談を有効な教材として残していくため、個々の陳述を分類・分析するための枠組み構築を開始した。
第三に、実際の震災エピソードを取り入れた防災・減災教育の講義や授業を、一般向け、高校生向け、小学生向けにそれぞれ考案し、講演会や出前授業などで研究代表者が講師として実践を行った。いずれにおいても好評を得た。
平成27年度からは、本研究成果をさらに発展させ、教材開発のみならず、それを用いた授業デザインおよび授業実践研究を展開する予定である(基盤研究(C)「災害科学の専門知を教養科目に集約する授業開発研究」に採択)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 災害時の「生きる力」に関する探索的研究 -東日本大震災の被災経験者の証言から-2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤翔輔, 杉浦元亮, 野内類, 邑本俊亮, 阿部恒之, 本多明生, 岩崎雅宏, 今村文彦
    • 雑誌名

      地域安全学会論文集 No.23(電子ジャーナル論文)

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 中国人は「稲むらの火」をどのように理解するのか2014

    • 著者名/発表者名
      邑本俊亮, 崔長英
    • 学会等名
      日本教育心理学会第56回総会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2014-11-09 – 2014-11-09
  • [学会発表] 物語理解におけるテーマ推論2014

    • 著者名/発表者名
      邑本俊亮, キョウ妍玲
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-11
  • [学会発表] 高齢者の震災体験談の語りに関する研究-意味づけ方略の視点からの東日本大震災の語りの分析-2014

    • 著者名/発表者名
      細川彩, 邑本俊亮
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-10

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi