研究課題/領域番号 |
24531174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
外池 智 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20323230)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 戦争体験 / 語り / 広島 / 長崎 / 沖縄 / 花岡事件 / 土崎空襲 |
研究概要 |
本年は、まず広島と長崎で先駆的に取り組まれている戦争体験「語り」の継承プログラムを取り上げ、そのカリキュラム構成を中心に検討していった。具体的事例として、広島では、昨年度から開始された広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクト、広島平和文化センターによる「ヒロシマ ピース ボランティア」事業、原爆遺跡保存運動懇談会による「原爆遺跡フィールドワーク」の3件、長崎では、長崎市による「青少年ピースボランティア」事業、そして養成事業としては、やはり昨年度から開始された国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」の2件を取り上げた。とりわけ広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクトでは「話法技術の習得」の会に、原爆遺跡保存運動懇談会による「原爆遺跡フィールドワーク」では、昨年実施されたフィールドワークそのものに参加させていただき、参与観察・調査を実行した。また、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」には、事業の総まとめである朗読発表会に参加し、調査・アーカイブを実施した。 これらの分析・検討結果は、暫定的ながら日本社会科教育学会 第62回全国研究大会 自由研究発表(東京学芸大学)において「戦争体験『語り』の継承プログラムに関する研究―広島と長崎の取り組みを事例として―」として学会発表した。また『秋田大学教育実践研究紀要』第35号(2013年5月発行予定)にも同様の成果をまとめたものが掲載確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先述したように、本研究での中心的分析対象である広島、長崎、沖縄の事例のうち、広島、長崎に関しては概ね順調に調査分析が進んでいる。とりわけ、広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクトに関しては3年計画、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」は2年計画の事業であり、本年度も継続的に調査を進める予定である。 またこれに加え、今年度は沖縄において「ひめゆり部隊」の「語り」の継承プログラムについて、調査・研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、広島市市民局による「被爆体験伝承者」養成プロジェクト、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」に関しては、昨年度に引き続きその後の取り組みについて継続的に調査を進める予定である。またこれに加え、今年度は沖縄において「ひめゆり部隊」の「語り」の継承プログラムについて、調査・研究を進める予定であり、当地へのフィールドワークを実施したい。 また秋田県関連では、申請者が勤務している秋田大学教育文化学部の「地理歴史科内容学」において、土崎空襲関連のフィールドワークを土崎空襲被爆市民会議の会員の方のご協力により実施する予定であり、学生も参加予定である。 また、研究成果の公開については、10月に山形大学で開催予定の日本社会科教育学会第63回全国研究大会を中心に、成果をまとめたものを発表していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は広島、長崎、沖縄のそれぞれの戦争体験の「語り」、資料のアーカイブのため、記録機器やメディアを購入予定である。
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