戦後70年を迎える今日、戦争・戦場体験者の減少の中、全国各地で展開されている戦争体験の「語り」の継承やアーカイブは、「語り」による証言を何らかの媒体(文字、音声、映像等)でそのままアーカイブする場合とある特定の養成プログラムを経た方々に継承する試みが行われている。本研究では、特に後者に注目し、基本的な継承プログラムの内容構成の調査・分析を踏まえて、その特色を明らかにした。これは、その成果を踏まえた新たな継承カリキュラムを開発し、具体的授業実践の構築を目指すための基礎的研究とするためである。調査・分析の対象として、全国の中でも戦争体験の「語り」の継承の先駆的地域である広島や長崎、沖縄を取り上げ、その継承プログラムの調査と分析を実施した。 取り上げた戦争体験「語り」の継承プログラムの具体的事例は、以下の通りである。
広島(3件):広島市市民局「被爆体験伝承者」養成プロジェクト」(2012-)、広島平和文化センター「ヒロシマ ピースボランティア」事業(1998-)原爆遺跡保存運動懇談会、「原爆遺跡フィールドワーク」(1990-) 長崎(2件):長崎市「青少年ピースボランティア」事業(2002-)国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館、「被爆体験記朗読事業(朗読会/朗読ボランティア育成・派遣)」(2011-) 沖縄(4件):沖縄県平和祈念資料館「ボランティア養成講座」(2004-2006)、沖縄県平和祈念資料館「子や孫に語り継ぐ平和のウムイ事業」(2012-2013)、ひめゆり平和祈念資料館「次世代プロジェクト」(2002-)、南風原町「南風原平和ガイド養成講座」(2007-)
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