研究課題/領域番号 |
24531175
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
桂 博章 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60185832)
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キーワード | 郷土芸能 / 地域文化 / 伝承 / 教材作成 / 演奏動作 / モーションキャプチャ |
研究概要 |
秋田県の民俗芸能を対象とした本研究は、「高校生による郷土の芸能の継承、及び学習した芸能の発表」、「大学生による郷土芸能の習得、及び小・中学校における教材・指導法の開発」、「モーションキャプチャ装置を用いた郷土芸能の演奏動作の計測と分析」という内容から構成されている。 「高校生による郷土の芸能の継承、及び学習した芸能の発表」については、25年度は高校生が保存会会員から直接、「ささら」(獅子踊り)の踊りと横笛の指導を受け、獅子踊りの振りと横笛の運指を習得して、高校生だけで1曲を通して演奏できるようになった。地元の保存会の協力を得て、放課後に何度も指導を受けるなど、高校と地元の保存会との連携のモデルを確立したのは、郷土芸能の継承という点で、有意義であった。 「大学生による郷土芸能の習得、及び小・中学校における教材・指導法の開発」については、25年度は大学生が「西馬音内盆踊り」の踊りと伴奏の囃子を大学教員、並びに映像資料等から習得した後に指導法を開発し、1月末に附属小学校で授業を行なった。さらに、2月には大学のインフォメーション・センターにおいてプロの民謡奏者との共演で音楽会を開き、「土崎の湊囃子」(太鼓、横笛)、「西馬音内盆踊り」(踊り、楽器、地口)、「秋田民謡」、「民謡手踊り」の演奏発表会を開いた。これらの活動を通して、大学生は将来、小・中学校において郷土芸能の実技の指導をするための十分な能力を身につけたと考えられる。 「モーションキャプチャ装置を用いた郷土芸能の演奏動作の計測と分析」については、保存会員による「ささら」(獅子踊り)の演奏動作を、わらび座アートファクトリの協力を得て、モーションキャプチャ装置によって計測し、今後の研究のための基礎的データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「高校生による郷土の芸能の継承、及び芸能の発表」については、郷土芸能部の高校生が保存会会員より「ささら」を習得し、学内での発表の機会を持っている。また、楽器(太鼓)と備品(獅子頭、衣装等)の整備を終えている。 「大学生による郷土芸能の習得、及び小・中学校における教材・指導法の開発」については、学部学生が演奏技術を習得した後、指導法を開発し、小学校において「祭囃子」と「盆踊り」の指導を行なった。さらに、大学内において郷土芸能の演奏会を開催し、当初の目的を十分に達している。 「モーションキャプチャ装置を用いたささらの演奏動作の計測と分析」についても、今後の研究のために、保存会員による踊りの動作の基礎的データを取得し、現在、解析の方法について検討している。
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今後の研究の推進方策 |
「高校生による郷土の芸能の継承、及び芸能の発表」については、今年の10月に予定されている国民文化祭の「ささら」の演奏で、地元の「ささら」の保存会会員と連携して、より高い完成度の「踊り」と「横笛」の演奏技術を身につけて公演できるように努める。 「ささらの演奏動作の研究」については、「ステップの方向」と「踊り手の体の向き」が「初心者と熟練者の違い」、及び「地域によるささらの様式の違い」を明らかにするための鍵になると考えられ、今後の研究のために「高校生」の演奏動作の計測を行ない、「熟練者の演奏動作の計測データ」と比較する予定である。また、時間的な余裕があれば、近隣の集落のささらとの様式上の違いも明らかにしたい。 「大学生による郷土芸能の習得、及び小・中学校における教材・指導法の開発」については、既に当初の目的を達している。
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次年度の研究費の使用計画 |
太鼓、獅子頭については、予想よりも安く購入でき、また、大学生が演奏するための和楽器は、附属園より借用することができた。 調査旅費ついては、予算の節約のために私費で行なうことが多かった。 モーションキャプチャ・データの画像編集費ついては、今年度に支出する予定である。 今年度は、モーションキャプチャ使用料(その他)と、データ処理費に予算を多く支出し、他の支出の削減に努める計画である。
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