研究課題/領域番号 |
24531184
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
三宅 晶子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (20181993)
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キーワード | 古典教育 / 教育デザイン / 古文 / 漢文 / 伝統的言語文化 / 古典芸能 / 伝統工芸 / 能・狂言 |
研究概要 |
中等国語科教員育成のためのプログラムとして、「古典力」(すなわち日本の古文・漢文の読解力、書画・演劇への造詣などを初めとする、伝統的日本文化の総合的な知識・能力)育成のために、以下の3点からアプローチした。 1,「古典力」のアンケート実施と、調査方法の改良 =過去5年に亘って、横浜国立大学教育人間科学部学校教育課程一年次生全員に実施してきたアンケートとその集計・分析・考察・公表を継続した。古典の実力テストの部分を、現代行われている中等古典教育に即した内容に一部改変した。一昨年度後期分と昨年度春期分に関する調査報告は、発表済みである。秋期分に関しては、平成26年度に公表する。 2,今必要な教育内容の提示・教材・授業方法の開発=大学院教育学研究科の授業の一環として、古典関係の教科書と指導書の内容を調査した。新指導要領い基づく新しい教科書が、従来のものとどう違うか、またその内容の特色と問題点を様々な角度から検討した。 古典教育デザイン研究会において、『百人一首』・『義経記』・『源氏物語』・『竹取物語』など、中等国語教育における重要な教材について、担当者による研究発表と参加者による討論を行った。学部生・大学院生・現職教員などとの討議を通じて、今日の古典教育の特色を洗い出し、改善すべき点・新しい観点からの教育法の提案・教材開発などの提案を行った。 3,複眼で見る能のテキスト開発=8月3日横浜能楽堂観世流〈土蜘蛛〉・9月1日横浜能楽堂金剛流〈敦盛〉の撮影を行った。昨年度今年度に購入したハイビジョンカメラ2式を利用して、2方向からの撮影を自力で行える環境が整い、データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1のアンケート調査に関しては、きっちりした調査母体があり、方法も確立しているので、安定したデータが入手可能である。実力テスト部分の内容も改善し、今の学生達に適した内容に変更した。 2は、月例で開催する古典教育デザイン研究会を春学期は順調に開催できたが、秋以降開催できなかった。担当者を決められなかったことと、。小学校教員用ののテキスト作り(『元気づく古典』)の編集作業を行っていた事による。来年度は、中等教員向けテキスト作りのために、研究会を再開したい。。 3については、機材を購入し、自力で複眼撮影が可能となった。画像編集が難しく、いまだに理想的な編集画面を作り出すことができていないので、来年度は新たな撮影と共に、編集作業を完成させたい。
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今後の研究の推進方策 |
古典力アンケート調査と分析・公表、古典教材・古典教科書・参考書・副教材の収集、月一回程度の古典教育デザイン研究会開催を継続する中で、以下のことを行っていく。 1、国語教員古典力アップのためのテキスト作成= 二年間の作業を継承しつつ、テキストの具体的内容、構成を決定し、テキスト執筆、作成、発送を行う。 学部・大学院の授業テキストとして使用し、当該授業を実験授業として位置づけ、教育的効果、問題点などを学生へのアンケート、担当教員からの聞き取り調査などで、立体的に明らかにしつつ、改善すべき点は今後の課題として、恒常的に取り組んでいける体制作 りを行う。 2、複眼で見る能のテキスト作り= 能の撮影は昨年度と合わせて4曲予定している。特に完成年度である26年度の撮影曲は、撮影を許可してくださっている横浜能楽堂との連携によって、こちらの希望する曲を選択して、演能予定に組みこんでいただいてあるので、教材としてより適した作品を撮影することが可能である。 これらを自力で撮影、編集出来るように、技術と環境を整えていきたい。また、動画から静止画像を取りだして、画面合成したテキスト作りの方法を確立し、完成年度には、実際にテキスト作りを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度残額50031円が生じた状況は、高等学校国語教科書が刷新されたことに伴い、その指導書の一部を購入する計画で、予算を計上していたが、調査により、その内容が以前のものと殆ど変化が見られないことが判明したため、指導書の購入を中止したためである。 複眼で見る能の編集作業があまり順調ではないので、そちらに対応可能な学生に謝金で依頼し、編集を行うことに利用したい。
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