研究課題/領域番号 |
24531191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉田 治人 信州大学, 教育学部, 准教授 (70449776)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 吹奏楽指導 |
研究概要 |
本研究は、教育現場における吹奏楽活動の中で、その演奏レベルを計る一つの目安とされる吹奏楽コンクールにおいて、下位の成績に甘んじた団体の指導者の指導力向上を目指すことを目的としている。本研究を通して生じる指導者の指導力向上により、生徒たちが、吹奏楽の指導を受ける際に指導者の力量の差によって生じる『指導の質の格差』を多少なりとも減少させることに結び付くと考える。 研究は、大阪府吹奏楽コンクール北地区、中地区、南地区大会において下位成績に甘んじた団体(中学校・高校)にアンケートを送付し、設問の最後に、当方の講習受講希望の有無を問い、講習を「強く希望する」団体の指導者と直接連絡を取り、現場に出向く形態を取った。実際に講習を希望したのは、アンケートを介しての2高校、7中学校の計9校および、個別依頼による1高校、4中学校である。 まず指導者との懇談で、生徒達の抱える問題点、指導者自身が抱える問題点を明らかにし、論理的に説明した上で、初年度は、管楽器奏法の基盤となる「息の流し方」に着目し、このことを中心に他の項目をも含む総合的な吹奏楽指導の実践を行った。この息の出し方を生徒たちに理解させることにより、音質の統一に向けて大きく一歩を踏み出したと言える。指導者は、一連の指導の様子を観察することで、理論を実技と連動させることを学習していく。指導者の中には音楽科専門でありながら、吹奏楽の経験が無かったり、他教科の吹奏楽経験者であったりするため、その指導者の抱える問題点に寄り添った具体的な指導法を伝えることを念頭に置いて進めた。まだ実際に研究が始動して4か月ほどであるが、指導者、生徒達から演奏の質的向上を実感する感想が寄せられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算開始時期は平成24年4月であったが、研究の性質上、7月下旬から8月上旬に行われる吹奏楽コンクールの結果を待たねばならなかったことに加え、部活動内での学年の入れ替わり後、その新体制がある程度落ち着く時期を待つ必要性があった為、初年度の研究始動時期が10月にずれ込んだ。 その為、指導回数実績は当初の見込みを下回っているが、その様な状況の中でも、生徒、指導者の意識は少しずつ高まってきており、実際に初年度の主項目である『音質改善』に良好な変化が見られ初めている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、①ソルフェージュ力向上に向けての指導、②ハーモニー構築に向けての指導を目標にしていたが、初年度の研究始動時期が大幅に遅れたので、初年度の「息の流し方」を引き続き念頭に置きながら進めいていく。 良い音を出すための「息の流し方」を習得していくことで音質の改善がみられると予測する。しかしながら、美しいハーモニー構築には奏者の音感(ソルフェージュ力)養成が不可欠である。楽器をうまく鳴らすことと、ソルフェージュ力をリンクさせることで、バンド全体の響き向上を目指す。 単なる研究者の吹奏楽指導になってしまわないように、指導者との懇談を重視し、指導者の要望に応じて臨機応変に対応していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画で見込んだよりも研究始動時期がずれ込んだため、出張回数が少なくなったため、次年度使用額が生じた。 2年目は、年度初頭から昨年度の指導を継続的に行っていくため、昨年度出張が無かった前期も指導に出向くことになる。このため、出張回数は大幅に増加することは確実であり、出張費にも前年度繰り越し分を含む予算を必要とする。 また、実際に研究を進める中で、当初見込んでいなかった物品、楽譜の購入、また、見込んでいた物品の未購入物品の購入も必要となる。
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