研究課題/領域番号 |
24531192
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
志民 一成 静岡大学, 教育学部, 准教授 (50320784)
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研究分担者 |
今川 恭子 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (80389882)
早川 倫子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60390241)
石川 眞佐江 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80436691)
国府 華子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70282811)
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キーワード | 保育者養成、教員養成 / 表現教育 / 歌唱指導 / 教育プログラムの開発 / 声を育てる |
研究概要 |
本研究の目的は、広範な表現ツールとして子どもの「声」を育てる上で、保育者・教員を目指す学生や現職教員にとって必要な知識、考え方、技能を身につけるための教育プログラムを構築することである。 2年次となる平成25年度は、昨年に引き続き、これまでの歌唱教育・発声教育に関する教育史的、発達学的、音声生理学的な、様々な基盤的研究の整理を行った。まず、教育現場での課題を確認した上で、歌唱指導における問題点について整理し、特に指導における根拠となっている楽譜の吟味と、歴史的経緯について検討を行った。これらについては、音楽教育史学会の大会において口頭発表を行い、さらには紀要論文に成果をまとめ発表した。また、音声生理学的な知見について基盤的研究の整理を行い、フースラーの理論に基づいた実践方法については紀要論文にまとめ発表した。さらには教育現場での実践の調査を通して、我が国にとどまらず、諸外国の歌唱および声の表現教育の実態把握と問題点の整理を行うため、イタリア・フィレンツェ市の幼児・児童学校や、文化財団等が実施している子ども参加型のオペラ等の文化事業について実地調査を行い、イタリアにおける歌唱指導の実状を把握することができた。 一方、実践的プログラムについては幼稚園等でワークショップを実施した。また、民謡や長唄など、日本の伝統的な歌唱についても小・中学校で実践を展開し、歌声の音声データの収集と分析を行った。さらには、保育者・教員養成向けのテキスト出版に向けて、これらの成果を統合した教育プログラムの構想を立案中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していた計画の内容ごとに述べる。 「声を育てる」ことを考えるための知見の体系化については、まだ整理が完了していない部分もあるが、多くの知見を得ることができた。 我が国や諸外国の音声表現に関する実践における課題の整理については、イタリア・フィレンツェ市の幼児・児童学校や、子ども参加型のオペラ等の文化事業について実地調査を実施し、十分な成果を得られたと考える。 「声を育てる」ことを考えるための実践的プログラムの開発について、ワークショップや授業実践など実践を重ねており、その成果について精査中である。 声の技能を引き出す具体的な教材の開発については、出版等による公開を目指して原稿を執筆中であり、これまでの研究成果をもとに、次年度、本格的に開発を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度については、計画に掲げた内容ごとに、次のように研究を進めていく。 「声を育てる」ことを考えるための実践的プログラムの開発を本格化させ、特に保育者養成・教員養成、現職教員研修を念頭においたディベート課題、ワークショップ形式、体験型プログラムなど、より応用範囲の広い内容の開発を発展させる。それらを統合し、声を磨き、表現力を培うための実践的プログラム(メソード)の構築を目指し、その教育プログラムの実施と普及活動を開始したいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会等に参加するための国内旅費で想定以上の支出があり、当初複数の研究分担者で実施する予定であった海外視察が、残高が若干不足したために1名のみの視察となった。これにより海外旅費として予定していた予算に余剰が出たが、このことが判明したのが年度末であったことから、他の用途に変更して消化することができなかった。 教育プログラム実施のための旅費等や、追加の史料等の購入に充てる予定である。
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