研究課題/領域番号 |
24531193
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
江口 啓 福岡工業大学, 工学部, 教授 (00321521)
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研究分担者 |
紅林 秀治 静岡大学, 教育学部, 教授 (60402228)
朱 紅兵 広島国際学院大学, 情報デザイン学部, 教授 (90284736)
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キーワード | 教材開発 / 技術教育 / エネルギー変換教材 / 計測・制御教材 / 技術・家庭科 / 国際情報交換 / 中国:タイ |
研究概要 |
平成25年度においては、前年度設計したロボット教材を基に、モジュール接続型のロボット教材の開発と、クリーンエネルギーを効率よく変換するための電源回路部の改良を行った。今年度開発したロボット教材は、発電モジュール、充電モジュール、および、負荷モジュールの3つのモジュールから構成されており、学習者はこれらのモジュールを組み合わせることで1つのエネルギー変換システムを作り上げる。提案教材では、発電モジュールの種類による発電方法・発電効率の違いや、負荷の違いによるエネルギー利用方法・変換効率の違いなどを体験することで、学習者がエネルギー利用に関する素養を試行錯誤を繰り返しながら身につけることができる。提案教材に関する動作検証を行った結果、モジュールの組み合わせ方によって、発電量や蓄電量などが異なることを学習者が体験できることが確認できた。一方、提案教材の発電モジュールに利用する電源回路部の改良においては、ソーラーパネルなどのエネルギー変換素子から供給される電圧が小さい場合でも効率よくエネルギーを取り出すために、寄生容量によるエネルギー損失を軽減するための手法を提案した。その結果、国際会議JTL-AEME2013(Japan - Thailand - Lao P.D.R. Joint Friendship International Conference on Applied Electrical and Mechanical Engineering 2013)においてBest Paper Awardを受賞した。さらに、本年度はこれらの教材の開発に加えて、次年度にエネルギー環境教材に関する国際比較と評価を行うことを念頭に置き、日本の大学生177名、タイの大学生59名に対して、「技術教育の内容」と「技術的素養」に関するアンケート調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、平成24年度に設計を行った提案教材を利用することで、提案教材の理科教育・技術教育での実践と環境教育への展開を行うことを目標としていた。平成24年度に開発を行った教材に関しては、既に中学生を対象とした実践授業を行うだけでなく、中学校の現場教員を対象とした実践授業も行うことで、提案教材に関する評価・検討も完了している。また、前年度設計したロボット教材を基に、今年度開発を行ったモジュール接続型のロボット教材に関しても設計を完了し、工業大学の学生を対象とした動作確認によって、モジュールの組み合わせ方によって発電量や蓄電量などが異なることを実践により確認している。さらに、平成26年度に行う予定である、「① 多面的な視点からの提案教材の総合評価」と、「② 提案教材の国際比較と評価」の下準備として,日本,ならびに,タイの学生を対象とした「技術教育の内容」と「技術的素養」に関するアンケート調査を行った。これらの研究成果については、学術論文2件、国際会議発表3件、ならびに、国内発表2件として公表を行った。以上の理由により、平成25年度の研究実施計画を概ね満足しており、本研究が順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、以下の2つの事柄に関して研究を実施する予定である。 1.提案教材による科学教育を国際的な視野でとらえるため、国内のみならず海外の教育機関も含めた生徒・学生の「ものづくり」や「技術的素養」に関する意識調査、ならびに、海外の教育機関における「ものづくり教育」や「エネルギー教育」の実態把握を行う。既に、平成25年度においては日本人学生177名、ならびに、タイ人学生59名を対象とした「技術教育の内容」と「技術的素養」に関するアンケート調査を行っているが、平成26年度には調査対象となる学生数を拡大して追加アンケートを実施し、比較調査を行う予定である。さらに、平成26年度にはアンケート対象国として中国を追加し、日本・タイ・中国のアジア3ヶ国における「ものづくり」や「技術的素養」の実態の比較・分析を行う。以上のように、国内外からの評価・検討を重ねることで、多面的な教材開発と評価・検討を行う。2.提案教材を授業に導入するにあたり、提案教材を効率的に運用するための授業補助ツールについても検討を行う。具体的には、授業者と学習者の双方向授業を実現するための手作りクリッカーを設計する。平成25年度の研究においては、補助教材の核となる無線通信手段を確立しているため、原理機の作製、ならびに、評価を実践授業によって行う。
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