研究課題/領域番号 |
24531196
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山田 康彦 三重大学, 教育学部, 教授 (30220411)
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研究分担者 |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
森脇 健夫 三重大学, 教育学部, 教授 (20174469)
根津 知佳子 三重大学, 教育学部, 教授 (40335112)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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キーワード | PBL教育 / アクティブラーニング / 対話型授業 / PBL事例シナリオ |
研究概要 |
本研究は、PBL 教育(問題発見解決型学習)における、1対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすることを目的としている。平成25年度の研究実施計画では、①対話型シナリオを複数作成する、②対話型シナリオを実際の授業で施行し、小集団学習における対話の質を高める支援の方法を検討する、③学生による評価を行うとともに、学会等で報告を行い評価を受ける、の3点を挙げていた。 ①対話型シナリオの作成では、学習指導論、教育課程論、特別支援の保育・教育論、技術科・音楽科・図工科の各教科教育論の分野で、大学生や現場の保育・教育関係者を対象とした事例から問題を発見し思考し解決を図る対話型のPBL事例シナリオを作成することができた。 ②実際の授業での対話型シナリオの施行、及び小集団学習における対話の質を高める支援の方法の検討では、学習指導論、教育課程論、特別支援の保育・教育論、音楽科教育論、図工・美術科教育論の各授業で試行を行うことができた。その際PBL教育の小集団学習の方法を取り入れ、グループでの討論や対話を実施し、その結果を検討した。 ③学生による評価の実施では、上記の各試行授業では主に学生による記述式の評価を実施した。学会等で報告を行い評価を受ける点については、対話型事例シナリオの教育の基本的な考え方や方法論及び学習指導での試行については学会誌に論文を掲載し、特別支援の保育・教育分野における対話型シナリオについては書籍を出版すると同時に学会発表を行い、図工・美術教育分野の試行の検証については大学内の紀要に投稿した。 このように平成25年度の研究実施計画に基づいた研究実績をあげることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、PBL 教育(問題発見解決型学習)における、1対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすることを目的としている。 平成24年度は、①従来のPBL 教育の実践事例の批判的な分析、②PBL教育や対話論に関する書籍・論文の収集とそうした先行研究の検討、という基礎的な研究を行い、その上で本研究の主目的である対話型シナリオの作成を具体的に開始するという計画を立てた。これら①②の基礎的研究部分については、PBL教育全体の実践事例の到達点と課題が明らかにでき、特に教員養成分野のPBL教育と対話論の到達点を明らかにすることができた。さらに対話型シナリオの作成の開始については、対話型PBL事例シナリオの原理、作成方針をまとめることができた。 その成果を踏まえて、平成25年度は、①対話型シナリオを複数作成する、②対話型シナリオを実際の授業で施行し、小集団学習における対話の質を高める支援の方法を検討する、③学生による評価を行うとともに、学会等で報告を行い評価を受ける、の3点の研究計画を立てて研究を進めた。「研究実績の概要」に記したように、学習指導論、教育課程論、特別支援の保育・教育論、技術科・音楽科・図工科の各教科教育論の分野で、複数の対話型事例シナリオを作成し、それらを授業で実際に試行し、学生による評価も行い、それらの成果を学会誌、書籍、大学の紀要に論文等で公表し、学会発表も行うことができた。 これらに見られるように、研究は計画通りに進展しており、順調に研究の目的を達成してきている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度及び25年度の到達点をふまえ、今後の研究の推進方策としては、1PBL教育における対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすること、という研究目的の達成のために、以下のように当初の計画の通りに研究を行うとともに、3年間の研究の成果をまとめる。 1.PBL対話型事例シナリオを各教科教育、領域においてテーマをたてて作成し、多方面からの評価、チェックを受けながら、完成度を高める、これらを授業書のような授業事例集にまとめ、印刷して、大学内にとどまらずに教育関係の各方面に配布する。 2.①PBL教育における対話型のシナリオの開発と実践、②小集団学習における対話の支援の方法の究明という研究目的にそった研究活動の実践的・理論的成果を論文や報告にまとめる。 3.これらPBL教育における対話型のシナリオ開発の成果と課題を問うために、全学の高等教育創造開発センターとの共催でシンポジウムを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行に必要なコンピューター関係や図書などの消耗品費、及び調査研究や研究成果の学会発表のための旅費はおおむね計画通りに使用している。しかし研究補助や調査結果をデータ化する作業が予定より遅くなっているため人件費・謝金、及び資料費などに未使用額が出たため。 平成26年度は本研究の最終年度になる。そのため、計画通りにPBL教育の対話型シナリオ作成のための残った調査を行う。平成26年度は山口大学と東京学芸大学、さらにそれら大学周辺の学校現場への調査研究を予定している。また毎月研究打ち合わせを行い、年に2回研究代表者・分担者全員が参加して集中的な研究検討を行う予定である。さらに研究成果を「大学教育研究フォーラム」などの学会で発表する予定である。それらのために国内旅費を使用する計画である。 さらに研究成果をまとめ、そしてそれを公開して検証するために、授業事例集と研究成果報告書を作成し、さらにシンポジウムを実施する。そのために印刷費に使用するほか、専門的知識等の提供費、調査研究の補助や記録テープの起こしや整理などに人件費および謝金を使用する。また研究をまとめるにあたって必要な図書の購入などに消耗品費を使用する。
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