本研究は日中韓の大学生同士の相互理解を深めるとともに,教員養成分野における新たな教育プログラムの開発・確立を目指すものであった.平成20年度からスタートした日中韓の教員養成段階における海外での教育実習を,国際理解教育分野の具体的な形としてカリキュラム化することを目標としていた.平成24年度からスタートした本研究は27年度までの4年間,国際理解教育と演習科目を開設(日本・長崎大学と韓国・漢陽大学校)と運用に関わることができた. この間,延べ80名の学生(日本と韓国,其々40名)が海外での教育実習を経験し,それぞれの大学での多文化関連の科目として,国際理解教育と演習科目を開設し,受講させることができた.また,本プロジェクトの参加者を対象とした平成24年度からのアンケート調査により,多文化共生と異文化理解を目的とする異なる国同士の学生交流授業は,学生同士の直接的な関わり合いや交流が極めて重要であることを示していた.特に,教育実習と教材開発を共修するプログラムを通して,言葉の壁を乗り越える努力や積極的に自分の意志を伝えようとする意思表示,相手の気持ちを理解しようとするお互いの歩み寄りなどの三つの項目が重要な概念として注目された. 最後までチャレンジし続けた日中韓の三ヶ国の交流授業は実現できなかった.まだまだ,日中韓が同じ土俵上に乗る環境になってない現状を知るきっかけとなった.
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