本研究は、多文化化が進む日本の学校において多文化共生にむけて、ポストコロニアルな視点から、学校で活用できる日系移民学習教材を開発し、その意義と可能性を検証することを目的としている。 最終年度の2016年は、次の二点について研究を行った。①南米における日系移民調査と教材開発、②研究成果の大学授業への応用 ①については、研究2年目に実施予定であったが、諸般の事情で実施できなかったパラグアイ及びペルーにおける日系人調査を行った。具体的にはパラグアイでは、アスンシオンで行われた日本人移民80周年の記念式典に出席して参加者へのインタビューを行うとともに、イグアス移住地にも訪問して移住史料館等で日本人移民に関する資料調査を行った。ペルーにおいても、リマの日秘文化会館、日本人移住史料館、ラウニオン運動施設等、日系人関係の施設を訪れ、インタビュー調査及び資料の収集を行った。現在、その調査から得られた資料をもとに南米日系人に関する読み物教材を作成中である。 ②については、これまでの研究で作成された移民教材を森茂の大学の授業において活用して、その教材を使った学生からのフィードバックを得て、教材の改善に役立てた。また本研究で行った教材開発の方法を森茂が大学で担当している「グローバル・スタディーズ」というハワイにおける日本人移民、日系人の教材化をテーマにした海外体験学習のプログラムに応用し、ハワイ島におけるフィールドワークを通して日本人移民、日系人に関する教材づくりを行い、学生の開発した教材を集めた研究成果報告書『ハワイ日系人の経験に学ぶーグローバル教育の教材開発ー』(2017年3月)として刊行した。
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