研究課題/領域番号 |
24531227
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研究機関 | 大阪府教育センター |
研究代表者 |
広瀬 祐司 大阪府教育センター, その他部局等, 主任指導主事 (00615172)
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キーワード | 博学連携 / PISA型学力 / 理科 / 総合的な学習の時間 |
研究概要 |
年度当初からセンター附属高校の生徒全員に大阪市博物館協会のキャンパスメンバーズ制度の適用を受けた。本年度の目標のひとつである、附属高校のPISA型学力養成の根幹である探究ナビの学習活動(総合的な学習の時間とHRを合体させた学校設定科目)にキャンパスメンバーズ制度を活用するための特別授業を1年生全員に教育センター指導主事が実施し、夏休みの調べ学習を博物館で行うことができた。これによって本研究は、教科理科を中心とした初年度の取組から、教科横断的なPISA型学力を養成する探究ナビを含んだ取組へと教科の枠を越えて展開することができるようになった。 教科理科においては、大阪市立自然史博物館と協働して特別展「モンゴル恐竜化石展」のワークシートを開発し、それを活用した生徒実習を実施し、成果をiPad上のKeynoteを使って発表した。また、iPadとKeynoteを活用して大阪市立自然史博物館の常設展を中学生に紹介するプレゼンテーションを作成し、生徒間での相互評価を行った。さらに、大阪市立自然史博物館と協働して、提示された課題に対して生徒が仮説を立て、その仮説を博物館の標本を走査型電子顕微鏡で観察して検証する実習を行った。 効果の測定は年度当初に全国学力・学習状況調査の生徒用質問紙から理科に関する質問を15問選び、それについて回答状況と自然史博物館での3回の実習を行った年度末の回答状況を比較して行った。その結果、「理科の授業で、自分の考えや考察をまわりの人に説明したり、発表したりしていますか。」「理科の授業で、自分の予想をもとに観察や実験の計画をたてていますか。」「理科の授業で観察や実験の結果をもとに考察していますか。」という質問への回答が著しく改善された。研究実績は、理科教育学会、生物教育学会等の全国大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最終年度に計画していた、センター附属高校の生徒がiPadを活用して、写真撮影や動画撮影を行い、それを用いて実験の結果・考察、博物館の見学成果などを発表する授業を本年度中に実施し、発表を見学した博物館の学芸員からも高い評価をいただいた。 さらに、全国学力・学習状況調査の生徒用質問紙を活用したアンケート調査を年度当初と年度末に行って、理科におけるPISA型学力の養成に、博物館と連携した実習が著しい効果があることを実証することができた。 研究実績は主たる担当者が学会で発表する傍ら、連携研究者である博物館学芸員も学会での発表を二回行った。さらに主たる担当者は授業を担当した附属高校教員とともに12月の大阪府教育センター教育フォーラム、3月末の京都大学e-forumでも発表しその取組が注目を集めた。
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今後の研究の推進方策 |
生徒が発表活動を行う際には、生徒の視点(根拠)を明確に示しながら自らの考えを展開する上でiPadとKeynoteが大きな力となった。これまでに30台のiPadを導入したが、さらに10台を導入して、40人クラスでも全員がiPadとKeynoteを活用した発表活動ができる環境を整備する。 教科理科でのPISA型学力養成に博物館との連携が著しい効果があることを実証できたため、教育系の学会誌に論文を投稿する。アジアの生物教育についての学会(Asian Association for Biology Education )での発表も検討する。 教科横断的な探究ナビの学習において有効な博物館との連携のあるべき姿を、附属高校の教員・大阪市博物館協会のスタッフと協働して、人文系の博物館も活用しながら本年度の夏休みの調べ学習を企画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算執行に際して、端数として生じた。 本年度の端数調整に使用する。
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