研究課題/領域番号 |
24531231
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
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キーワード | 視覚障害 / 画像呈示方法 / 画像処理 / 触覚 / 情報補償 |
研究概要 |
近年、急激にソフトウェアによるスイッチ制御を行うスマートフォンなどタッチスクリーン式のインタフェースが普及してきた。この普及は、スイッチをソフトウェアで制御できるため、物理スイッチと比べて安価なコストで実装が可能であること、および、スクリーンによる映像提示と組み合わせることで、直感操作を生み出すメリットがあることが背景にある。そのため、今後、従来のスイッチに代わって、タッチスクリーンスイッチを利用する機器が爆発的に増大すると見込まれている。 そこで、25年度の研究では、タッチディスプレイの触覚フィードバック機能を利用し、映像のテクスチャー情報や見た目に関する情報を触感を通じて提供するなどの課題の検討を行った。その結果、疑似触覚感覚の判別精度が高いことが判明し、これらの技術を利用したテクスチャ識別など応用が期待できる見通しを得られた。 触覚は、見た目と同様に、言葉にならない情報を含む点で共通しており、触覚を活用することによって、言葉で表現しがたい情報を代行感覚として呈示するなどの応用が期待できる。また、これらの結果を踏まえて、教育現場で教師が複数の視覚障害学生に対して、リアルタイムに情報を共有するためのソフトウェアの試作も行い、教育の現場で試用した結果、迅速・適確に情報を共有することが確認できた。また、このソフトウェアによって、指示語による情報提示と理解が可能であることも判明し、さまざまな用途での応用への可能性が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の研究では、主として、触覚フィードバックの機能をもつタッチスクリーンに着目し、これらの技術を活用して、画像情報の共有へ適用させる方法等について検討を行った。まず、人間が触覚フィードバックに対して、どの程度の精度で判別が可能であるかを確かめるべく、映像の状態と触覚フィードバックを対応づけて、同一のものをタッチスクリーン上で選択するテストプログラムを作成し、実験を行った。その結果、非常に高い精度で判別が可能であることが判明した。このことから、様々な触覚フィードバックのパターンを利用した情報伝達が可能であることが分かった。現在、教育に利用される映像情報について、視覚障害学生とリアルタイムで情報共有する方法等を触覚などの感覚代行の方法を踏まえた上で検討を行い、教育現場で有効に活用できるツールの開発を検討を進める段階へ進んでいる。このことから上記のとおり達成度を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後のコンピュータインタフェースの技術動向は、不自然さを払拭し、人間の感覚を理解し、自然な、まったく新しいものに生まれ変わる時代が到来すると見込まれている。視覚障害者への情報補償において、コンピュータの技術発達の影響が大きく、情報格差を局限するするための重要な役割を果たしてきた。本研究課題においては、このような技術動向を踏まえて、コンピュータを活用することで、映像情報を共有するための方法を検討し、主に、触感覚を主として研究を重ねてきた。その結果、点字や疑似触覚を利用した方法を提案し、その効果をある程度確認することができた。一方、触感覚の判別分解能は高くないため、膨大な情報をもつ映像を伝えるには限界が存在する。 そこで、26年度の研究では、触情報を巧みに活用した映像情報学習・教育方法についての研究成果を総括するとともに、今後、人間が利用するあらゆるコミュケーションの手段をコンピュータが理解する技術が到来することを踏まえ、人間の表現する動きや表情、3D位置情報など多種多様な情報を総合的に活用した発展系の方法の検討段階へ進めるための準備を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度中に支出を予定していたICCHP2014国際会議の論文投稿のための費用および英文校正費用が、先方の遅れのため、執行できなかったのが主な理由である。 ICCHP2014国際会議への、論文の投稿およびその登録に係わる費用等に使用し、また、国際会議参加の旅費等の費用としても使用する予定である。
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