研究課題/領域番号 |
24531235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
橋本 創一 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (10292997)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学校不適応 |
研究概要 |
本研究の目的は,発達障害のある,または特別な教育的支援を要する児童生徒(通常学級に在籍),軽度知的障害のある生徒(知的障害特別支援学校高等部)を対象として,学校適応スキルの把握(『ASIST 学校適応スキルプロフィール』を用いて)による支援ニーズごとの個別の指導計画の立案に関する検討をおこなうことである。a.障害特性などの支援ニーズタイプごとに『ASIST 学校適応スキルプロフィール』の有用性の検証,b.『ASIST学校適応スキルプロフィール』と知能検査の併用による妥当性の検証,c.個別の指導計画の立案による検証,の大きく3つの検討を展開する。研究成果として,事例データベースを作成し,教師が閲覧/活用しやすい様式にてホームページで公開する。 <A班> 適用事例の収集・分析班 研究協力校を対象に,郵送によりASIST 適用事例200 名を収集した(H24.8月実施)。対象児は通常学級在籍で通級指導を受けている者ならびに校内委員会での検討事例で回答者は担任教師(了解が得られた場合は対象児の保護者)である。現在ASIST 活用事例データベースの基礎データを整理・分析中である。 <B班>知能検査の併用事例の収集・分析班 研究協力校を対象に,面接調査によるASIST 学校適応スキルプロフィール及びWISC-IV・田中ビネー知能検査などを実施し,その併用適用事例60 名を収集している(H24.9 月~H25.8 月予定)。対象児は小中学校の通級指導教室と特別支援学校中学部・高等部の児童生徒(小学生・中学生・高校生を各20 名)である。回答者は担任教師(了解が得られた場合は対象児の保護者)である。ASIST学校適応スキルプロフィール,知能検査,Q-U 学級満足度尺度,学力把握,対象事例の現況・支援の実際などを総合的に調査し、関連についての基礎データを現在整理・分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、ASIST学校適応スキルプロフィールの適用事例を収集し、分析を進めている。また、調査協力校に赴き、面接や行動観察、他の知能検査を合わせた総合的な事例収集も順調におこなわれており、計画していたスケジュールに沿って研究を継続する見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
<A班>ASIST 適用事例の分析班:平成24 年度に収集した適用事例の分析を引き続き行う。支援ニーズごとに整理したASIST 活用事例データベースを作成しホームページで公開するための検索や利便性などを考慮したものを構築する。 <A班>海外の学校適応スキル尺度の活用例の調査:通常学級に知的・発達障害児が多く在籍し,学習支援や学校適応支援が盛んに行われているアジア太平洋の国で著名なオーストラリアの小学校視察・学校適応スキル尺度の適用・活用例の収集を行う。 <B班>知能検査の併用事例の収集・分析班:平成24 年度に引き続き研究協力校を訪問して調査を行い,ASIST の分析結果とWISC-IV/田中ビネーの知能特性分析の連関について事例ごとの状況を鑑みて検証する。また,次年度に実施予定の典型事例による個別指導計画の作成のための準備を行う(支援ニーズ別,学年別,学校での状況などを含めて実際に指導目標と手だてを立案した様式を作成する) <C班>個別の指導計画の作成と有用性検証班(ワークショップの開催):①学校内ワークショップ(保護者・教師らと実態把握から個別の指導計画作成の検討):校内の個別面談会を利用した関係者のみで意見交換を行う。対象児のプライバシーや人権擁護などに充分に考慮した上で,対象児とその保護者や担任教師,支援にかかわる関係者などが集まる校内ワークショップを開催する。②公開ワークショップ:東京,さいたま市(協力校地域)にて公開のワークショップを開催し,広く意見交換を行う。③ホームページでの典型事例データベースの公開:平成24~25 年度に収集した適用事例の分析と上記のワークショップに基づき,支援ニーズ・学年ごとに整理し,ASIST活用事例データベースを作成しホームページで公開する(公開にあたってはプライバシーに留意し匿名性の高い表現に記録などを書き換えする)。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施する研究協力校での調査実施のためのガイダンスや平成26年度に実施を予定している公開ワークショップで使用するプロジェクターの購入を予定している。また、研究協力校と資料収集・視察のための旅費を計上している。収集した事例の調査データの入力・分析、知能検査実施、研究協力者への謝金等の人件費・謝金を使用する予定である。加えて、通信費や郵送にかかる費用、消耗品購入費として研究費を充てる計画である。
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