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2012 年度 実施状況報告書

小学校低学年を対象とするリテラシー・アセスメントに基づく学習支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24531236
研究種目

基盤研究(C)

研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

安藤 壽子  お茶の水女子大学, 学校教育研究部, 教授 (10619175)

研究分担者 瀬戸口 裕二  名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (50597739)
原 惠子  上智大学, 外国語学部, 准教授 (00583741)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードリテラシー / 小学校低学年児童 / 学習支援システム / アメリカ合衆国
研究概要

平成24年度は、①リテラシー・アセスメントとしてのEasy Literacy Check(以下ELC)の開発と、②学習支援プログラム(ディスレクシア指導プログラム)の開発のための基礎的研究を行った。
①については、分担研究者とのソフト面の修正、連携研究者によるハード面の作成が終了し、ELC(CD版)が完成した。これを用いて、通級指導教室等においてディスレクシア児のデータ収集を行った。また、教員・指導者を対象とするディスレクシアセミナー(2012年8月、2013年3月の2回)等の機会を活用し、ディスレクシア指導にかかわる専門家にELC(CD版)を配布し、データの収集と指導場面での活用を依頼した。
②については、海外で開催されたディスレクシア関連の学会(63rd International Dyslexia Association Conference,Brazilian Dyslexia Association Symposium)に参加し、先進的なディスレクシア指導に関する情報収集を行うとともに、国内では、NPOらんふぁんにおけるリテラシー指導(年間23回)を通し指導プログラムの試行・検証を行った。
そして、研究の進行に伴って、ディスレクシア指導を効果的に進めるうえで学校教育システムへの位置づけを図る必要性が示唆されたため、小学校入門期におけるリテラシー習得の実態を捉える目的で、小学校入学から一年間の児童の変容をGuided Readingの手法を用いて経年的に観察・評価した(H小学校1年生3学級児童、総計93名)。
また、海外におけるリーディング促進プログラムの調査を行い(2013年3月、カリフォルニア)、先行調査研究(2011年、シカゴ)の結果と合わせ、日本の学校教育システムへの導入の可能性について検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は小学校低学年を対象とするリテラシー・アセスメントとそれに基づく学習支援プログラムの開発を目的とし、3年計画の1年目としての平成24年度は、リテラシー・アセスメントとしてのEasy Literacy Check(以下ELC)の開発、学習支援プログラム(ディスレクシア指導プログラム)開発のための基礎的研究、に取組んだ。
リテラシー・アセスメントに関しては、ELC(CD版)が完成した。これをもとに、ディスレクシア指導者セミナーを夏季・冬季の2回開催し、ELCの目的や活用法について紹介し、合わせてそれぞれのフォローアップ研修によりELCの活用事例や指導法を持ち寄った検討会を行った。また、通級指導教室教員や教育センター専門職のための職員研修の場においてELCを紹介し、学校教育システム内でのリテラシー・アセスメントとしてELCが活用できるかどうかその可能性についても検討した。その結果、通級指導教室や教育相談、NPO等の専門的な指導の場におけるアセスメントとしてELCの活用の可能性が示唆された。今後、アセスメントを学習支援プログラムに繋げるためには、ELCによるディスレクシアの症例を蓄積し類型化すること、通常の学級におけるELCのデータ分析に基づく学年別標準値を提示すること、が必要である。
学習支援プログラム(ディスレクシア指導プログラム)の開発に関する基礎的研究に関しては、通常の学級におけるリテラシー習得の経年的変化の分析やNPOにおけるディスレクシア指導の結果から、いわゆるRTIモデル(Response to Intervention)のような階層的な学習支援システムとそれぞれの階層レベルにマッチしたプログラムを提供する必要性が明らかにされた。今後、通常の学級におけるリテラシー促進プログラムと通級指導教室や個別指導に有効なディスレクシア指導プログラムに分けて検証したい。

今後の研究の推進方策

〇通常学級におけるELCデータの収集・分析と学年別標準値表作成⇒学会誌投稿・書籍執筆
・Y市立Y小学校 200名(1年~2年生)7月初旬検査実施
・Y市立T小学校 200名(1年~3年生)8月下旬検査実施
〇ELCによるディスレクシア・データの収集と類型化⇒学会誌投稿準備
〇通級指導教室、NPO指導によるディスレクシア指導プログラムの実施・検証⇒冊子作成

次年度の研究費の使用計画

10,8600円(印刷代)
・発達障害がある子どもの保護者のためのパンフレット作成
~家庭での学習・生活面の困難をどの様に克服したのか、発達障害がある子どもの保護者からの聞き取りをもとに、困ったときの対応策についてまとめ、ヒント集として配布する

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 特別支援教育コーディネーターの役割と資質2013

    • 著者名/発表者名
      安藤壽子
    • 雑誌名

      LD研究

      巻: 第22巻 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 健常児におけるトライアングル・モデルの検討 -ディスレクシアへの適用可能性についての考察-2012

    • 著者名/発表者名
      安藤壽子著
    • 雑誌名

      お茶の水女子大学人文科学研究

      巻: 第9巻 ページ: 25-36ページ

    • 査読あり
  • [学会発表] ディスレクシアをもつ児童のグループ指導II -小学校中・高学年グループ-2012

    • 著者名/発表者名
      安藤壽子・加藤醇子・原惠子
    • 学会等名
      日本LD学会第21回大会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20121006-20121008
  • [学会発表] ディスレクシアをもつ児童のグループ指導I -小学校中・高学年グループ-2012

    • 著者名/発表者名
      原惠子・加藤醇子・安藤壽子
    • 学会等名
      日本LD学会第21回大会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20121006-20121008
  • [学会発表] 通常の学級における多様な支援のありかた -通級指導教室の専門性の活用と学習支援員の養成-2012

    • 著者名/発表者名
      塚田三枝子・伴英子・安藤壽子他
    • 学会等名
      日本LD学会第21回大会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20121006-20121008
  • [学会発表] "Aspect of Education" J.Kato & K.Hara "Dyslexia in Japan"2012

    • 著者名/発表者名
      H.Ando
    • 学会等名
      Brazilian Dyslexia Association
    • 発表場所
      SAN PAOLO
    • 年月日
      20120906-20120908
    • 招待講演
  • [図書] 小学生のスタディスキル -「学び方」がわかれば、学校はもっと楽しくなる-2012

    • 著者名/発表者名
      安藤壽子編著
    • 総ページ数
      126ページ
    • 出版者
      図書文化

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公開日: 2014-07-24  

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