研究課題/領域番号 |
24531239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
八島 猛 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (00590358)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 健康障害 / 自尊感情 / 発達支援 |
研究概要 |
本研究の目的は,1)通常学校に在籍する慢性疾患のある児童生徒の自尊感情の発達傾向とその影響要因を横断的な調査によって明らかにすること,2)通常学校に在籍する健康障害児に対する教育支援を通して,適切な自尊感情の形成・変容に有効な教育支援方法について検討すること,である。 今年度は1)について,Harter(1985)を参考として自己認知尺度を作成し小学3~ 6年生300名,中学1~2年生304名,計604名を対象に調査を実施した。この尺度は児童の自尊感情,学業や運動など各領域におけるコンピテンス,それらの領域を本人が重要と考える程度の3点について測定可能である。結果は現在分析中である。 2)については,通常学校に在籍する慢性疾患のある児童を対象として発達支援教室を設立した。現在3名の児童が参加として登録し,月1回3時間程度の活動が実施されている。活動の基本方針は文献研究のレビューにより決定され,参加者の自尊感情を測定尺度や行動観察により定期的に評価している。自尊感情の測定尺度を用いた参加者個人の経年変化は自尊感情が維持された参加者1名,低下した参加者2名であった。 児童期から青年期にかけて自尊感情や自己評価のいくつかの領域は年齢上昇にともない低下するという報告がある。また,Harter(1990)によれば,自尊感情の変化は重要な領域における自己評価に影響される。今回の調査において,自尊感情が維持された参加者はコンピテンスを下げた領域における重要度を大きく下げており,このことが自尊感情を維持した要因の一つとも考えられた。しかし,分析対象児童が少ないこと,一般データの経年的変化のデータが得られていないこと等から,今後の研究の結果を含めて慎重に検討していく必要がある。 これらの結果については、日本特殊教育学会第51回大会(明星大学)において報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,1)通常学校に在籍する慢性疾患のある児童生徒の自尊感情の発達傾向とその影響要因を横断的な調査によって明らかにすること,2)通常学校に在籍する健康障害児に対する教育支援を通して,適切な自尊感情の形成・変容に有効な教育支援方法について検討すること,である。1)については通常学校を対象とする調査を実施した。2)については通常学校に在籍する児童を対象とした発達支援教室を開催し,定期的に活動を行っている。作業手順は当初の研究計画と異なる部分はあるが,概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,通常学校を対象とした自尊感情尺度の使用による縦断的調査および特別支援学校,特別支援学級を対象とした横断的調査も実施する。 また,通常学校に在籍する慢性疾患のある児童を対象とした発達支援教室の参加者を再度募集し,自尊感情を維持・向上するための教育支援に関する事例的研究も継続して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,通常学校を対象とした自尊感情尺度の使用による縦断的調査および特別支援学校,特別支援学級を対象とした横断的調査も実施する。また,通常学校に在籍する慢性疾患のある児童を対象とした発達支援教室の参加者を再度募集し,自尊感情を維持・向上するための教育支援に関する事例的研究も継続して行う。そのため,研究費は主として調査費と事例研究のための発達支援教室の運営費として使用される。 また,研究成果の発表および情報収集のため,学会参加も計画しており,そのための旅費としても使用する予定である。
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