最終年度は、1)英国でのマルティセンソリー・ストーリーテリング(MSST)の取り組みについての情報を集約し、2)その成果を日本の重度重複障害をもつ児童生徒に還元するための教材を作成し、3)ガイドラインを作成する基盤の資料作成を行った。 1)英国でのMSSTの取り組みについての情報収集:スコットランドの重症児と家族を支援する団体PAMISが、てんかんの理解、性教育(月経の手当てや精通について)、歯科衛生などの個のニーズに応じた読み聞かせ絵本を作成し、学校・家庭に貸し出しをしている。学校と家庭で連携しての教育が可能であり、家族への支援につながることが明らかになった。障害のある人と共に語りを行うチャリティ団体OpenStorytellersがイングランドにあり、その創設者Nicola Groveへのインタビュー、教師トレーニングのセッションへの参加を行った。 2)BagBookにて読み聞かせ教材の作成:アートクラフトのスタッフの指導を受けながら教材の作成を行った。特に、日本向けの教材(京都で迷子)を作成し、日本の親子療育で使用をした。 3)比較的コミュニケーション能力の高い児者向けのナラティブ・インターベンション・プログラム(NIP):NIPの作者であるCity University LondonのVictoria Joffeにインタビューを行い、そのプログラムの目的、効果、課題などについてまとめた。日本版の作成に向けて翻訳を行い、日本での使用に向けて改変が必要な点を整理した。
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