平成27年度は、引き続き著しい漢字書字困難のある中学生の漢字書字指導をするとともに、平成27年度は著しい漢字書字困難の高校生に対しても漢字書字指導を毎週行った。これまで学校での漢字書字指導では何度も書いて覚えさせるという方法であったが、それによっては効果がなかった。WISC-Ⅲの検査結果では、両名とも言語性IQは高かったので、その能力を活かして指導することとした。具体的には、例えば「線」を覚える時、「イトヘン」「シロ」「ミズ」というように漢字の構造を言葉で分解し、それを唱えながら書字するという方法をとらせた。その結果、中学生は小学校4年生までに習う漢字を80%自力で書けるようになり、また高校生はほぼ90%自力で書けるようになった。 漢字書字学習支援システムで書字させたところ、指導開始時の中学生は、漢字の画の書き出しが早く、筆圧も書き出しが高いという傾向であったが、指導を通じて、漢字の画の中ほどが早く、筆圧も中ほどが高いというように、運筆に改善が見られた。一方、高校生の方は、漢字の画の書き出して一旦速度が遅くなり、その後に上がるという書き癖が見られた。漢字は書けるようになったが、運筆に改善は見られなかった。
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