研究課題/領域番号 |
24531260
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小田部 夏子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20406242)
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研究分担者 |
小町 祐子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (40433619)
畦上 恭彦 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (70337434)
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 視覚性記憶 / 視覚構成能力 / 運動覚性音読 |
研究概要 |
発達性読み書き障害には書きそのものに難しさをもつ者も多いが、読みに比べ書きに関する研究は遅れている。日本語では漢字という書記素があるため視覚的要素が文字学習に関与していると考えられており、書きのつまずきの背景に視覚性記憶(後藤、2010)や視覚構成能力(山本、2008)、運動覚心像との関連(橋本、2006)が示唆されている。そこで定型発達児における視覚構成能力の発達過程および運筆の方向性の学習過程および視覚性記憶力について明らかにし、発達性読み書き障害児と比較検討を行う。視覚性記憶が問題でない場合は運動覚心像を使った記憶力についても明らかにする。 視知覚認知課題として視覚性記銘課題、未知文字視写課題を対象児に実施した。 視覚性記銘課題(視覚的に記憶するものの量を1つ、2つ、3つと統制することによって測った1,2,3図形記銘課題)を定型発達児に実施 したところ1図形の記銘が最も容易で、3図形の記銘が最も難しく、1図形、2図形、3図形記銘課題ともに学年があがるにつれて成績が良くなった。読みに比し書きにより弱さを持つ2名の発達性読み書き障害児では1図形、2図形、3図形記銘課題ともに典型発達児と顕著な差がなく、不良であるとは言えなかった。 上記の結果を受けて運動覚性再生・音読課題も作成し、対象児(定型発達児および読み書き障害児)に実施した。 運動覚性再生・音読課題:目隠し状態で鉛筆を持った子どもの手を検査者が動かして平仮名、片仮名、漢字各一文字をなぞらせてから白紙に書かせた(文字の運動覚性再生)後、何の字であったか口頭で答えさせ、(文字の運動覚性音読)運動覚のみによる文字の再生および音読能力を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視覚性記銘課題を対象児に実施した結果のまとめを行い、学会で発表が済み、学会誌に投稿中である。運動覚性再生・音読課題を対象児に実施した結果も学会発表が済んでいる。今後投稿準備を行う。未知文字視写課題については一部、学会発表が終了し、今後はさらに結果をまとめ学会発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
運動覚性再生・音読課題について学会誌へ投稿準備をする。未知文字視写課題を対象に行った結果についてさらにまとめ、学会発表の準備を行う、その後学会誌への投稿準備を行う。さらに読み書き障害児に対して視覚性記銘課題、運動覚性再生・音読課題、未知文字視写課題を行い、書きの問題を顕著にもつ読み書き障害児の書きの問題について視覚性記憶や、視覚構成能力、運動覚による学習について評価するつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は仕事の都合で学会参加の数が減ったため。 未知文字視写課題の結果について学会発表を行う予定であり、その学会参加費および旅費に使用する。また、書きの問題を顕著にもつ読み書き障害児に視覚性記銘課題、運動覚性再生・音読課題、未知文字視写課題を行う際の謝品を購入するために研究費を使用する予定である。
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